コロナ禍でおうち時間が増えたころから、家庭菜園は一段と人気が高まっています。
しかし、家庭菜園に興味があっても庭が無かったり、管理が難しいと思って手を出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのはハイドロカルチャーによる野菜栽培です。
土のかわりに人工の素材を使って植物を育てる方法ですが、観葉植物以外に野菜も育てられることはご存じでしたか?
家庭菜園用の庭や大きなプランターを用意する必要がないため、アパートやマンション住まいの方でも簡単に取り組めると、注目を集めています。
そこで、今回の記事では
- ハイドロカルチャーの基本的な知識
- 野菜をハイドロカルチャーで育てるメリット・デメリット
- ハイドロカルチャーで育てられるおすすめの野菜
- ハイドロカルチャーで野菜を育てる方法
- ハイドロカルチャーで野菜を育てるコツ・注意点
- ハイドロカルチャーを自由研究にする方法
についてご紹介します。
ハイドロカルチャーで野菜を育てると、料理に新鮮な野菜やハーブを添えることができ、食卓がランクアップします。
お店で買うと割高なハーブの育て方もご紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
ハイドロカルチャーで野菜を育てることできるの?

本当にハイドロカルチャーで野菜を育てられるの?と思う方は多いと思います。
ここからはハイドロカルチャーの野菜栽培について、順番に説明していきます。
【結論】ハイドロカルチャーで野菜は育つ
先に結論を申し上げますと、ハイドロカルチャーで野菜は育ちます。
季節や天候に関係なく育てられるため、業務用の葉物野菜を育てるのにハイドロカルチャーが使われることもあるようです。
野菜全般が育つわけではないので勘違いしないように
しかし、注意していただきたいのは野菜全般がハイドロカルチャーで育つわけではないことです。
成長に時間がかかったり、根を深く張る野菜はハイドロカルチャーで育てにくい傾向があります。
すべての野菜がハイドロカルチャーで育つと勘違いすると、上手く育てられずにガッカリしてしまうので注意してくださいね。
しかし、ハイドロカルチャーの知識を蓄えとこう!
しかし、お部屋で清潔に育てられるハイドロカルチャーの野菜栽培は、非常に魅力的ですね。
家庭菜園の入門としてもおすすめです。
ハイドロカルチャーの知識を蓄えることで、お部屋を彩るグリーンに新しい仲間を加えることができますよ。
そもそも、ハイドロカルチャーって何?

そもそも、ハイドロカルチャーって何?と思われた方もいるのではないでしょうか。
ここからはハイドロカルチャーについて基本的な知識を解説していきます。
ハイドロカルチャーとは水耕栽培の1種
ハイドロカルチャーとは土を使わずに植物を育てる水耕栽培(肥料の入った水で植物を育てる方法)の1種です。
「ハイドロ(水の意味)」と「カルチャー(栽培)」を組み合わせた言葉で、土の代わりに人工の素材(ハイドロボール・ゼオライト・ジェルポリマーなど)を使って植物を育てていきます。
ハイドロカルチャーもさまざまな種類がある
ハイドロカルチャーにもさまざまな種類があります。
今回はそのうち3種類をご紹介します。
【野菜を育てるにはおすすめ】ハイドロボール
1種類目はハイドロボールで、野菜を育てるにはおすすめの素材です。高温で粘土質を焼いて作られた、丸い軽石のようなものです。
細かい穴がたくさん空いていて、穴が取り込んだ空気を植物の根に供給します。
粒の大きさも大・中・小とあるので、育てたい野菜の大きさに合わせたものを選ぶことができます。
ゼオライト
ゼオライトは根腐れ防止剤として良く使われる素材です。
ハイドロボールより粒が細かいものが多いため、大きな植物の根を支えるのは難しい場合があります。
色のついたカラーゼオライトは、見た目も美しいと人気があります。
ジェルポリマー
ジェルポリマーは水分を多く含んだ、透明感のあるぷにぷにとした素材です。
カラフルな色合いのものも販売されており、日が当たるとキラキラと輝いてとても美しいです。
インテリア性が高く、小さな植物をおしゃれに育てるのに向いています。
ジェルのなかにもともと栄養素が含まれているものもあり、簡単に植物の栽培が始められるので人気があります。
野菜をハイドロカルチャーで育てるメリット
次は、野菜をハイドロカルチャーで育てるメリットを3つご紹介します。
虫がよってきにくいので清潔に保てる
1つ目は虫が寄ってきにくいので清潔に保てることです。土で野菜を育てると、土の中の卵から虫が発生したり、肥料から出る匂いに虫が寄ってくることがあります。
その点、ハイドロカルチャーは土を使わず、使用する肥料も液体タイプ。そのため、土ほど虫が寄ってこないのです。
土の中の微生物もいないので、カビやキノコが発生することも少ないです。
生で食べる葉物野菜を雑菌の少ない環境で育てられるのは、嬉しいポイントと言えるでしょう。
匂いも全くしない
2つ目のメリットは匂いも全くしないことです。
ハイドロボール、ゼオライト、ジェルポリマーのどれを選んでも素材に匂いはありません。
日が当たって藻が生えると匂いが気になることもありますが、基材を洗浄もしくは交換すれば簡単に対応できます。
植え替えがとても簡単なので初心者でも安心
3つ目のメリットは植え替えがとても簡単なので、初心者でも安心な事です。
土の植物を植え替える場合、土がポロポロとこぼれて服や部屋を汚したり、植え替えの時は根を傷つけないように注意を払う必要があります。
しかし、ハイドロカルチャーの植え替えは土が付いていないので、水で洗うだけで大丈夫です。
そのため、植え替えの失敗も少なく初心者でも安心です。
デメリットは1つだけ:ハイドロカルチャーを使うとあまり大きくは成長しない
管理が簡単で衛生的と、ハイドロカルチャーの家庭菜園は良い所がたくさんあります。
1つだけ注意したいデメリットは、ハイドロカルチャーを使うとあまり大きくは成長しないことです。
ハイドロカルチャーで育てる場合、根はハイドロボールなどの隙間をぬって伸びていきます。そのため、土に植える時と比べて根が太くなりにくく、成長スピードもゆっくりです。
柔らかな葉物野菜を楽しめますが、グングンのびる成長を楽しみたい植物には不向きなことは覚えておくとよいでしょう。
ハイドロカルチャーで育てることができる野菜

ここからはハイドロカルチャーで育てられる代表的な野菜を紹介していきます。
成長が早く、食卓で使いやすい野菜を集めたので、気になった野菜はぜひ育ててみてくださいね。
バジル
バジルは独特の香りがトマトやチーズと相性が良く、イタリアではバジリコと呼ばれるイタリア料理には欠かせないハーブです。
ビタミン・ポリフェノールなど、抗酸化作用の強い成分が豊富に含まれています。
発芽率がよく、生命力も強いため家庭でも簡単に育てられます。
小さめの葉を収穫してイタリア料理に添えたり、葉がたくさん茂ったらバジルソースにすると、パスタなどに使えてとても便利です。
ケール
葉物野菜の中でトップクラスのビタミン、ポリフェノール、ミネラルを含むのが、このケールです。
青汁の原料として有名なため、苦くて青臭いイメージが強い方もいるかと思います。
しかし、生食用のケールは臭みが少なく食べやすいため人気が高まっており、最近はファミリーレストランのメニューでケールのサラダを見かけることもあります。
キャベツの原種と言われており、生命力が強いためハイドロカルチャーでも管理が簡単で育てやすいです。
収穫も長く続けられる、おすすめの野菜です。
パクチー
パクチーは古代より薬草として使われており、ビタミンCを多く含んでいます。
昔からデトックス効果があると言われており、夏バテや風邪の予防に最適です。
サラダ、生春巻き、フォーのトッピングなどにすることで美味しく食べることができます。
温暖な気候で育つハーブのため、暖かい部屋で育ててあげたいですね。
レモンバーム
レモンバームは名前の通り、レモンによく似たさわやかな香りが特徴のハーブです。
肉や魚の臭みを消したり、デザートやドリンクに添えると料理が一段ランクアップします。
葉は刻んだりせず、葉の形のまま料理に入れたり添えたりすることが一般的です。
ポリフェノールが多く含まれるため、抗酸化作用が期待できるのも嬉しいポイントです。
香りを生かして石鹸や入浴剤として使うのも良いですね。
ミント
ミントはハッカとも呼ばれる、スッキリとした香りとさわやかな風味が魅力のハーブです。
古くから西洋で薬のように扱われており、胃もたれの改善や吐き気止めなどに使われてきました。
アイスなどのデザートに添えたり、料理の風味を引き立てる添え野菜として使われることもあります。
ハーブティーにすると、心地よい香りを直接楽しむことができます。
地植えのミントは想像以上に繁殖して困ることがありますが、ハイドロカルチャーは必要な量だけを育てられるので便利です。
リーフレタス
リーフレタスはレタスの仲間ですが、たくさんの葉に日光が当たるため丸いレタスよりもビタミン、ミネラルなどを多く含みます。
生で食べることが多いため、ハイドロカルチャーだと地植えよりも衛生的に育てられるのは嬉しいですね。
根元に土が入り込まないので、料理に使う時に洗いやすいのもメリットと言えるでしょう。
ハイドロカルチャーで野菜を育てる方法

次はハイドロカルチャーで野菜を育てる方法を紹介していきます。
準備するもの
- 育てたい野菜の苗
- 穴の空いていない鉢
- ハイドロボール
- 水位計
初めての場合は、必要な物がセットになった水耕栽培キットを活用するのもおすすめです。
水耕栽培キットは容器、ハイドロボール、液体肥料、水位計が含まれていることが多いです。
高価なキットだと、夜間の成長を早めるLEDライトが含まれることもあります。LEDライトについては後で詳しく説明します。
手順
必要な物が揃えば、簡単に野菜の苗を植え付けることができます。
作業は室内で済むため、作業はお仕事から帰ってきた夜の時間でも大丈夫です。
①:野菜の苗を購入してくる
まずは、野菜の苗を購入しましょう。
ホームセンターだと自分で苗を見て選べますが、買いに行くのが難しいなら通販で苗を買うのもおすすめです。
土が付いている場合は、綺麗に洗い流しておきましょう。
②:ハイドロボールに植え替える
容器の1/3ほどまでハイドロボールを入れ、苗の場所を決めます。
根がハイドロボール同士の隙間に入ると、早く安定して成長しやすいです。
苗が小さい場合は切り込みを入れたスポンジに苗を差し込み、培地として使用すると苗がグラグラしにくく、良く育ちます。
苗の場所が決まったら、苗が固定できる高さまでハイドロボールを入れ、きれいに整えましょう。
③:水位計を必ず設置する
水位計を必ず設置しましょう。
鉢の底に水位計がついていないと正しい水の量が測れないので、水位計の説明書を読んで正しく設置しましょう。
④:水を水位計を見ながらあげる
水位計を見ながら水をあげることで、根腐れのリスクを減らすことができます。
水加減の失敗を減らすことができるので、水やりをする時は水位計をチェックする癖をつけると良いですね。
置き場所:基本、室内で良いが明るく日陰
ハイドロカルチャーで野菜を育てる場合、置き場所は室内で大丈夫です。
しかし、日照不足だとひょろひょろに育ってしまい、夏の直射日光は強すぎて苗が弱る原因になります。
そのため、丁度よい置き場所は明るい日陰と言えます。
レースカーテン越しの優しい光が当たる場所や、明るいキッチンなどがおすすめです。
上手にハイドロカルチャーで野菜を育てるコツ

次は、上手にハイドロカルチャーで野菜を育てるコツを3つご紹介します。
このコツを覚えると、野菜の収穫が3倍、4倍に増えるので、ぜひマスターしてくださいね。
夜間時はLEDライトを使用するとぐんぐん成長する
昼間は太陽の光が野菜を育ててくれますが、日の当たらない夜間はLEDライトを使用してみましょう。
夜も光が当たることで、野菜の成長スピードが早くなり、ぐんぐん成長してくれますよ。
鉢は大きめにして、3〜4個苗を植えると良い
苗を植える鉢は大きめのものを選び、3~4個の苗を植えると良いでしょう。
鉢が小さいと野菜が成長したときに窮屈になってしまうので、最初はスカスカな位で大丈夫です。大きめの鉢だと野菜を長い期間収穫でき、収量が倍増するのも嬉しいですね。
基本的に肥料は不要!
市販の固形肥料は基本的には不要です。
使う場合は水耕栽培用の液体肥料を使用しましょう。
液体肥料が多すぎると、肥料焼けを起こして野菜を弱らせることもあります。
説明書の分量を守って、ちょうど良い量を使うのが上手に育てるコツです。
ハイドロカルチャーで野菜を育てる時の注意点

ハイドロカルチャーは衛生的で簡単に育てられる魅力的な栽培方法ですが、注意したいポイントもあります。
次は失敗を防ぐための3つの注意点を紹介していきます。
種をハイドロカルチャーに植えて成長しないことがある
1つ目の注意点は種をハイドロカルチャーに植えると成長しないことがあることです。
ハイドロボールなどの資材に直接種を撒いてしまうと、上手く発芽しないことも多く、貴重な種が無駄になることもあります。
最初から苗を買ってくるか、種から育てる場合はスポンジなどの培地に種まきをして、発芽後に培地ごと移植するとうまく行きやすいです。
ハイドロカルチャー向けの野菜を育てること
2つ目の注意点はハイドロカルチャー向けの野菜を選んで育てることです。
ハイドロカルチャーでは、根が常に水につかった状態になるため、大根や人参などの根菜やじゃがいもなどのイモ類を育てるのは非常に難しいです。
効率的に野菜を育てるためにも、ハイドロカルチャーに適した野菜を選ぶようにしましょう。
水やりをしすぎると根腐れを起こす可能性がある
3つ目の注意点は水やりをしすぎると根腐れを起こす可能性があることです。
ハイドロカルチャーの野菜栽培では、ハイドロボールの細かい穴の中の空気が根に供給されます。
そのため、ハイドロボールや根が空気に触れる時間を作る必要があります。
水やりをしすぎると、容器内が常に水に浸された状態になり、根に酸素が供給されずに根腐れを起こす可能性があるので注意が必要です。
鉢はさまざまなもので代用できる

ハイドロカルチャー用の鉢はさまざまな物で代用できます。
家に余っているものを上手に利用する事で、エコな野菜栽培が可能なので試してみてくださいね。
ペットボトル
ペットボトルを半分くらいの場所で切り、漏斗のような形になるように上半分を逆さにして重ねます。
ペットボトルの上部を鉢として使い、下半分は水を入れる容器として使用します。
育てる野菜のサイズによって、500mLや2Lのペットボトルを使い分けると良いでしょう。
100均で販売しているプラスチックの保存容器
100均で販売しているプラスチックの保存容器も便利に使うことができます。
大きさも色々なものがあるので、育てたい野菜に合わせて選ぶとよいですね。
取っ手が付いている物を選ぶと、水を変える時などの移動時に便利です。
無印良品やニトリの収納ケース
たくさんの野菜をハイドロカルチャーで育てたい場合、無印良品やニトリの収納ケースを利用するのもおすすめです。
収納ケースの蓋に穴を空け、スポンジ培地に植えた苗を穴にはめ込んで育てていきます。
大きな容器ならたくさんの野菜を同時に育てられるので、エアーポンプ(金魚の水槽に空気を供給するような装置)を使った大規模な栽培にチャレンジすることも可能です。
夏休みの自由研究にできる!!

ハイドロカルチャーの野菜栽培は夏休みの自由研究にできます。
自由研究に迷ったらいかがでしょうか。
育てた野菜は食べられるので、お子さんの食育面にも良い影響が期待できます。
あまり、金額がかからないのでおすすめ
自由研究に少し育てるなら、容器は空いたペットボトルで済むので容器を買う必要はありません。種やハイドロボールも100均で売られているので、あまり金額はかからずに必要な物を揃えることができます。
種まき培地用のスポンジは、家庭用のスポンジが使用できます。メラミンスポンジはスポンジの目が細かすぎて、発芽しても根が張りづらいので避けましょう。
できるだけ目の粗い風呂場用スポンジなどがおすすめです。
植え替えやお世話が簡単なので初心者におすすめ
植え替えやお世話が簡単なので、初心者にもおすすめです。
保護者の方と一緒にやれば、小学校2~3年生ごろから挑戦できるでしょう。
ただ育てるだけだと物足りないお子さんは、置き場所などの条件を変えた鉢をいくつか用意して、比較実験をするのも面白いです。
土がこぼれたり、虫食いなどのトラブルも避けられるため、初めての野菜栽培にもおすすめです。
夏休みの40日間で収穫までできる
何より嬉しいことは、夏休みの40日間で種まき〜収穫までが体験できる事です。夏場は気温が高いため発芽までの日数も短く、成長も早いため観察日記もつけやすいです。
夏の直射日光はハイドロカルチャーの野菜には強すぎるため、置き場所に注意は必要ですが、夏休み初日に必要なものを揃えて種をまけば、夏の終わりに可愛い野菜が収穫できます。
ハイドロカルチャーで野菜は育つ?ハイドロカルチャー育てるおすすめの野菜のまとめ
今回はハイドロカルチャーで野菜を育てる方法についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
今回の記事のポイントは以下の7点です。
- ハイドロカルチャーで野菜を育てると、清潔で簡単に野菜を育てられる
- ハイドロカルチャーで育てた野菜は、あまり大きくはならない
- バジル・ケール・パクチー・レモンバーム・ミント・リーフレタスなどの葉物が育てやすい
- LEDライトを使用したり、大きめの鉢で育てるとたくさんの野菜が収穫できる
- 水のやりすぎは根腐れを起こすので注意が必要
- 栽培用の鉢はいろいろな物で代用できる
- 栽培期間が短いので、夏休みの自由研究にもおすすめ
ハイドロカルチャーなら簡単に野菜を育てることができます。
食卓に彩りを添える新鮮な野菜をぜひ育ててみてはいかがでしょうか。
東京寿園では、植物との暮らしに役立つ様々な記事を提供しています。野菜以外のハイドロカルチャー栽培や、観葉植物に関する記事もたくさん用意しておりますので、ぜひお役立てください。
最後までお読みいただきありがとうございました。