多幸の木と呼ばれるほど、縁起が良く人気のガジュマル。沖縄ではキジムナーという精霊が宿っているとしても有名ですよね。そんなガジュマルは、初心者にも育てやすいといわれる観葉植物ですが、より元気に長く育てる方法をご存じでしょうか。
観葉植物を育てていると、一般的に、植え替えというお世話が発生しますが、ガジュマルの植え替え方法についてあまりよく分からないまま育てているという方も多いのではないでしょうか。そもそも、ガジュマルを植え替えする場合、いつ、どのように行ったらよいのでしょうか。
そこでこの記事では
- ガジュマルは植え替えが必要なの?
- 植え替えの時期やベストタイミングは?
- ガジュマルの植え替え方法とは?
- 植え替え後のケアはどうしたらいいの?
について解説していきます。
この記事を読んでいただければ、ガジュマルの植え替え方法やベストな時期、タイミングを学ぶことができます。また、この記事で説明する植え替え方法を実践することによって、長く元気なガジュマルを楽しむことができますので、ぜひ最後までお読みください。
ガジュマルに植え替えって必要なんですか?

観葉植物を育てる際、植え替えというお手入れがありますが、ガジュマルを育てたいと思った時、「植え替え方法まで把握してから購入した」という方は少ないのではないでしょうか。そもそも、ガジュマルは植え替えが必要な観葉植物なのでしょうか。
結論:定期的な植え替え作業が必要
結論から言いますと、ガジュマルも定期的な植え替えが必要です。ガジュマルも植え替えが必要だなんて知らなかったという方もいらっしゃるかもしれませんね。
そこで気になるのが、「なぜ植え替えが必要なのか?」ということだと思いますが、そちらは後程詳しくご説明いたします。
ガジュマルは成長が早い観葉植物です
ガジュマルは、日本では沖縄や屋久島に自生しており、ぷっくりとした気根がユニークな植物として人気です。
ガジュマルは日当たりが良いところで育てると、ぐんぐん成長し、他の観葉植物と比べても成長スピードが早いといわれています。
このように生命力が強いガジュマルですが、ずっと植え替えをせずに育てていると、根詰まりや根腐れ、土が痩せてくるなど、ガジュマルの元気がなくなってしまったり、枯れてしまう原因となります。
植え替えの時期やタイミングが重要
しかしながら、ガジュマルの根詰まりや根腐れを解消してあげたいからといって、いつでも植え替えを行っていいわけではありません。実は、植え替えを行うベストな時期やタイミングというものがあるのです。
ガジュマルの植え替えの時期やタイミングについて徹底解説
そこで本記事では、ガジュマルを長く元気に育てていくための、植え替えというお手入れについてベストな時期やタイミング、方法まで徹底解説していきます。
「植え替えはまだやったことが無い」、「ベストな時期が来たら植え替えに挑戦したい」という方はぜひお読みいただき、植え替えのポイントを押さえてくださいね。
どうしてガジュマルに植え替えが必要なのか?

それでは、ガジュマルの定期的な植え替えが必要な3つの理由について解説していきます。
土の栄養が少なくなってガジュマルの生育不良を起こすから
ガジュマルをはじめとした観葉植物は、土から水分や栄養分を吸収しています。観葉植物に向いているのは、水はけがよく、適度に保水性がある土です。
ガジュマルを鉢で購入した場合、最初はガジュマルに適した配合の土になっていますが、成長してくると土に含まれていた栄養分が減ってきたり、土の水はけが落ちてきます。そのような土で育て続けていると、当然ガジュマルが生育不良を起こしてきます。
ガジュマルが根詰まりを起こすことがあるから
植え替えしないままガジュマルの成長が進むと、根詰まりを起こします。これは、根が伸びてきて鉢の中が根でいっぱいになっている状態です。根詰まりを起こすと、栄養分を吸収できなくなって次第に根が腐って枯れていきます。
ガジュマルが根腐れを起こすことがあるから
古くなった土は、土の養分や水はけが悪くなってくるといった土の質が変化することがあります。そのような古い土のまま育てていると、ガジュマルの根が常に湿気にさらされたままになったり、雑菌が繁殖し根腐れを起こしてしまいます。
ガジュマルの植え替えに適した時期

それでは、植え替えに適した時期について、詳しくご説明していきます。
ガジュマルの成長期の5月~9月に行う
ガジュマルの植え替えは、成長期である5月~7月の暖かい時期がベストとされています。しかしながら、この時期を逃した場合、寒くなる前であれば9月初旬までなら植え替えしても問題ないでしょう。
これらの暖かい時期に植え替えを済ませることで、寒くなる前に根を安定させることができ、冬を越すことができます。
冬に植え替えるとガジュマルにすごく負担がかかる
例外として、状態が悪いガジュマルの株は5月~9月以外の時期でも植え替えをする場合がありますが、基本的に冬は植え替えを控えましょう。
冬は休眠期に入り、ガジュマルの株が弱い状態です。この時期に、植え替えするとガジュマルの株に負担がかかり、回復できず枯れてしまうことがあります。
ガジュマルの植え替えのタイミング

ガジュマルの植え替えの時期はお分かりいただけましたか。それでは、植え替えを行うべきタイミングとはどういった場合なのでしょうか。
じつは植え替えのサインをガジュマルが出している!
実は、植え替えをするべきタイミングがありますので、以下4つをご紹介します。育てているガジュマルにこのようなサインが当てはまる場合は、植え替えを検討してみましょう。
①水やりをするがしみこまない
ガジュマルの鉢に水やりをしても、水がしみこまないといったことはないでしょうか。これは、先ほど説明した鉢の中が根でいっぱいになっている根詰まりが原因です。
根詰まりを起こしている場合、土が水分を吸収できなくなり、土がすぐ乾いてしまいます。
②鉢の底から根が出ている
こちらも、根詰まりを起こしている状態です。ガジュマルの根が伸びて、鉢の中に納まりきらなくなって鉢底から根が飛び出ている状態です。鉢の中に根が伸びる空間が足りないということですので、ひと回り大きな鉢を用意しましょう。さらに根詰まりが進むと、根の圧力で鉢にひびが入ったり割れてしまうこともあります。
③きちんと育てているが葉が枯れてきた
日当たりが良い場所で、水やりの頻度もガジュマルにとって良い環境で管理していて、今までは元気に生長してくれていたのに、最近ガジュマルの元気がなく、葉が枯れてくるといった症状です。これも根詰まりの疑いがあります。
④気根と土の境目周辺が黒くなってカビが生えている
根詰まり以外にも根腐れも植え替えのサインです。これは、気根(地中ではなく、地上に生える根のこと)と土の境目あたりが黒くなり、カビが生えている場合は、新しい土に植え替える必要があります。
ガジュマルの植え替え方法

それでは、実際の植え替え方法についてご説明します。植え替えに必要なものと手順についてしっかりと押さえてくださいね。
ガジュマルの植え替えに必要なもの
ガジュマルの植え替えの際、準備するものは9つあります。
- 今の鉢よりもひと回り大きい鉢
- 観葉植物の土
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- 清潔にしたはさみ
- スコップ
- 割りばし
- 軍手
- 新聞紙や園芸シート
鉢の選び方について補足しますと、陶器製や素焼き鉢は通気性が良くおすすめです。重くない鉢が良い方は、セラアートという樹脂製の鉢も良いでしょう。また、ガジュマルの地上部と地中の根のバランスが、おおよそ3:1がベターといわれていますので、鉢の選び方が分からないという方はぜひ参考にしてみてください。
ガジュマルの植え替え手順
まず植え替えの準備として、植え替える数日前から水やりをストップし、土を乾燥させておきます。
それでは、植え替え手順についてご説明します。
- 新しい鉢の底に鉢底ネットを敷き、そこに鉢底石を鉢の底が隠れるまで入れます。その上から新しい土を数cm程度入れます。
- ガジュマルを鉢から根ごと引き抜きます。
- ガジュマルの根をほぐしながら、痛んでいる部分や、黒ずんでいる部分ははさみでカットします。
- 新しい鉢の中心にガジュマルを置き、高さやバランスを見ながら、新しい土を鉢の中に入れていきます。鉢を揺らしたりトントンと叩きながら、細かい隙間にも土を入れていきます。
- 割りばしで土をつつきながら、ガジュマルの根と土を馴染ませながら、鉢の縁から2cほどm下まで土を入れます。
- 鉢底から水が流れるほどたっぷりと水やりをします。土が沈んでしまったら、再度鉢の縁から2cmほど下まで土を入れます。
ガジュマルを植え替えた後のケア方法

植え替え直後は、ガジュマルに負担がかかりデリケートになっている状態です。そのため、植え替え後は、置き場所や水やり、肥料の与え方に注意する必要があります。
直射日光が当たらない【明るい日陰】に置く
植え替え後のケアで1番重要なのが日当たりです。植え替え直後は、1週間~2週間程度は室内の明るい日陰(半日陰)に置いて様子を見ましょう。
ガジュマルは日当たりの良い場所を好むので、植え替え後も直射日光が当たる場所に置きたくなる方が多いかもしれません。しかし、デリケートな状態のガジュマルを日当たりの良い場所に置いてしまうと弱って枯れる原因にもなります。
風通しの良さも忘れずに
また、明るい日陰に置くことも大切ですが、風通しの良い場所でガジュマルを休ませることも同じくらい重要です。風通しが悪い場所に置いておくと、湿気が溜まり根腐れを起こす可能性や、病害虫の発生に繋がる危険性もありますので注意してください。
水やりは土が乾燥してきてから与えるようにする
植え替え直後のガジュマルの根は、回復するまで水を十分に吸うことができません。
今まで通りの間隔で水やりを続けると常に根が湿った状態になり、根腐れを起こすこともあります。そのため、植え替え後の水やりは、土が乾いたらたっぷりと水やりを行います。「土に2~3cmほど指を挿して土が湿っていない」、「鉢を持ってみて軽い」と感じたら水やりの目安と考えてください。
植え替え直後に肥料は与えないようにする
植え替え後、2週間程度経ってガジュマルが元気なことを確認してから、肥料を与えます。肥料を与える場合は、観葉植物用として売られている錠剤タイプを置き肥すると良いでしょう。
【挑戦】植え替え時の土にこだわってみよう

土は経年劣化していき、定期的に土を新しくする必要があります。
植え替えの土は、「観葉植物の土」として100均や園芸店などで簡単に購入することができますが、ガジュマルの管理や植え替えに慣れてきたら、「次は土にもこだわってみたい」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
観葉植物の土は非常に重要です
ガジュマルをはじめ観葉植物を育てている方は、日当たりや水やりの頻度などに注意して日々育てているでしょう。一方で、観葉植物にとって「土」もまた、観葉植物が元気に育つために重要な要因です。
植物にとってのエネルギー源だから
植物は土から栄養分や水分を吸収しているため、土は植物にとってのエネルギー源であると言えます。観葉植物の生育には、水はけが良く保水性があり、栄養分や酸素を適度に含んでいる土が好ましいです。
土が中性なのか酸性なのかで生育に影響が出てくるから
また、土のpHも生育に重要です。ガジュマルを含め観葉植物は一般的に、pH5.5~7.0程度の弱酸性~中性の土を好みよく育ちます。ちなみに市販されている観葉植物の土は弱酸性に調製されています。
慣れないうちは市販の観葉植物の土で大丈夫
観葉植物初心者やお仕事が忙しい方は、「土にこだわる」といってもなかなか難しいこともあると思います。ですから、市販の「観葉植物の土」を用意すれば植え替え時も失敗が少なく、ガジュマルも元気に育ってくれるでしょう。
ですから、観葉植物には土の質も重要ということを理解しているだけで大丈夫です。もし、土にこだわりたいと思った時は、土の選び方のポイントを2つご説明しますので、参考にしてみて下さいね。
選び方のポイント①:水はけのよさ
1つ目は、水はけのよい土かどうかです。水はけが良い土を具体的にご説明しますと、ガジュマルの根から吸収できる水分量が適度に土に保持され、また、余分な水分は排出されていくということです。赤玉土や鹿沼土などが一般的です。
選び方のポイント②:通気性のよさ
2つ目は、土の通気性の良さです。赤玉土や腐葉土、バーミキュライトなどは通気性が良い土と言われています。こういった通気性の良い土を混ぜたり、使用することで、土中に酸素を含むことができるので、根は酸素を十分に吸収することができます。
自分で土を配合してみるのも面白い!
上記2つのポイントをご紹介しましたが、ガジュマルだけでなく育てる観葉植物に合わせて、水はけや、通気性を意識して自分で土を配合することもできます。ご興味のある方は自分で土をブレンドしてみると面白いでしょう。
自分で配合するのにおすすめの土や配合割合
土を配合してみたい方のために、ガジュマルの特性に合わせたおすすめの土や配合割合をご紹介したいと思います。これらの土を用意できる方は、ぜひ下記を参考に挑戦してみてください。
赤玉土
赤玉土とは、関東ローム層からとれる土で、粘土質の火山灰土です。通気性と水はけのよさが特徴で、様々な植物の用土として使用できます。赤玉土のpHは5~6の弱酸性で、観葉植物に向いている土と言えます。
腐葉土
腐葉土とは、落ち葉が虫や微生物によって分解された堆肥の一つです。葉が分解されるといっても、多少は葉の形が残っているので、土に空間が生まれ、通気性や水はけが良く、さらに保肥性、保水性といった特徴を持ち合わせています。こちらを土に混ぜることによって、土に微生物が増え、葉っぱが微生物に分解される際、栄養分が作られることで土壌が改善されます。
パーライト
パーライトはガラス質の火山岩を高温高圧で焼成した人工用土のことを差します。高温で焼成する際に、水が一気に蒸発し空洞ができるため多孔質である事も特徴です。
この多孔質構造に空気を含むことができるため、赤玉土などの基本用土にパーライトを混ぜることによって、用土の通気性を向上させたり、保温性が向上します。また、高温で焼成するため、無菌で清潔な状態になっており、病害虫が発生しにくく室内栽培にもおすすめの用土です。
赤玉土5:腐葉土1:パーライト4で混ぜるのがおすすめ
「赤玉土5:腐葉土1:パーライト4」は、水はけと通気性を重視した配合です。こちらは、乾燥気味に育てた方が良い観葉植物に向いている配合割合です。
ガジュマルは湿度の高い環境を好みますが、日本の冬を越す際は土を乾燥気味に育てる必要があります。冬は土の水やりを控えますが、葉水は冬も行っておくことで元気に越冬してくれます。
ガジュマルの植え替え時期にかんしてよくある質問

ここからは、ガジュマルの植え替えに関するよくあるQ&Aをご紹介します。
Q. ガジュマルの根が伸びています。切るのはダメなんでしょうか?
A,細く伸びている根は切っても大丈夫です。
植え替えの際、必ず根を切る必要はありませんが、ガジュマルをあまり大きくしたくない場合など、鉢の大きさがほとんど同じかと思います。そのためすぐ伸びた根ですぐ根詰まりが起こってしまうのを防ぐために、細く長く伸びてしまった根は切ると良いでしょう。
Q. ガジュマルの植え替えの際の鉢はどのくらいのサイズがいいですか?
A,育てている鉢よりひと回りだけ大きいサイズにしましょう。
大きすぎる鉢では、ガジュマルの根が分散し、株が不安定になってしまいます。また、大きい鉢にすることで鉢内の土の量が増えます。土中の水分も増えるので、常に湿った状態にさらされ根腐れを起こす原因となります。
これらを回避するために、適切なサイズの鉢を選ぶようにしましょう。
Q. ガジュマルの植え替えついでに剪定もしようと思いますが、同じタイミングで作業をしても大丈夫ですか?
A,問題ありません。
剪定に適した時期は、ガジュマルの成長期である5月~7月です。剪定も植え替えと同時に1年に1回程度行うのが良いとされていますので、同じタイミングで行いたい場合は、植え替えもこの時期に行うと良いでしょう。
剪定と植え替えを行った後は、前述した植え替え後のケア方法を参考にガジュマルの置き場所や風通しに気を付けて管理していきましょう。
ガジュマルの植え替えはいつするべき?時期やタイミングまで徹底解説のまとめ
いかがでしたか。ガジュマルの植え替え方法と植え替え後の管理方法について解説してきました。
この記事のポイントは
- ガジュマルの植え替えは、成長期である5月~9月頃がベストである
- 植え替えをしないと、根詰まりや根腐れで枯れてしまうことがある
- 植え替え直後は、半日陰で風通しのいい場所でガジュマルを休ませる
- 土にこだわって自分で作ることもできる
ということでしたね。これらを押さえれば、ガジュマルの「植え替えの必要性」や「観葉植物を育てる土の重要性」を理解することができます。ぜひガジュマルの植え替えの参考にしていただき、楽しみながらガジュマルを育ててみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の執筆者長岡 孝樹
NFDフラワーデザイナー
社団法人日本フラワーデザイナー協会(NFD)デザイナー。「お花や観葉植物で日常を彩る」を実現するためにWebメディアTOKYO KOTOBUKIENを運営中。メディア運営だけでなく、Amazonや楽天にも自社商品を出店。フラワーデザイナーの知識を活かし自社商品の提案など幅広く行う。