さまざまな品種がある多肉植物は、観葉植物としても高い人気を誇っています。多肉植物は屋外でも育てられるって知っていましたか。「本当に屋外に置いても大丈夫なの」「屋外ではどうやって管理したら良いの」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、
- 多肉植物の性質
- 多肉植物を屋外で育てる方法
- 初心者の方でも育てやすい観葉植物の種類
について詳しく解説します。多肉植物の知識がない方も大丈夫!本記事を読めば、多肉植物の屋外での育て方がマスターできます。
ぜひ最後までご覧ください。
多肉植物って屋外でも育てることはできる?

まずは、多くの方が抱える「多肉植物って屋外で育てられるの」という疑問にお答します。
結論:屋外でも育てることができます
結論から言うと、多肉植物は庭やベランダなどの屋外でも育てられます。屋外で育てる場合、鉢植え・地植えどちらでも大丈夫です。
注意点やコツを守ればすくすく育てることができる
ただし、多肉植物を屋外で育てるためには、いくつか注意点やコツをおさえておかなければなりません。逆に言えば、注意点・コツさえわかっていれば、屋外でも十分に育てられます。
多肉植物を屋外で育てるコツや注意点を徹底解説します!
今回は多肉植物を屋外で育てるコツや注意点を徹底的に解説します。いままで屋内でしか多肉植物を育てたことがない方も、屋外での育て方をマスターしましょう。
まずは多肉植物がどういう植物か知ることが重要

屋外で適切に管理するためには、多肉植物がどんな植物なのかを知っておくことが重要です。多肉植物の特徴について解説します。
原産地は砂漠や高山など過酷な環境がほとんど
多肉植物の多くは南アフリカ・マダガスカル島・北米南部などに自生しています。砂漠・海岸・高山などの過酷な環境で育っているのが特徴です。多肉植物は主に乾燥した場所で育ちます。
【蒸し暑い】のがすごく苦手な植物が多い
多くの観葉植物は乾燥地に自生しているため、蒸し暑さが苦手です。特に、湿度の高い環境を嫌う性質があるため、水分過多や風通しの悪さは多肉植物を腐らせる恐れがあります。
多肉植物を屋外で育てる基本的なポイント

多肉植物を屋外で育てる際におさえるべき基本ポイントは、「日当たり」と「風通しの良さ」です。これら2つを念頭に置き、多肉植物の屋外での育成を始めましょう。
①しっかりと太陽が当たっていること
多肉植物を屋外に置く場合は、しっかりと日光に当ててあげましょう。基本的に、多肉植物は日光を好むため、日照量が足りないと株がひょろひょろと弱弱しくなってしまいます。日当たりの良い場所を探して多肉植物を管理しましょう。
②風通しがいい環境下にあること
風通しの良い場所で育てることも大切です。多肉植物は葉に水分をため込む性質があるため、湿度の高い環境を苦手とします。多肉植物が蒸れてしまわないように、風通しの良い場所を選んで育成してください。
多肉植物を屋外での育て方【置き場所】

屋外では室内に比べて、天候や気温などによって生育が阻害されがちなため、置き場所には工夫が必要です。適切な置き場所を覚えておきましょう。
長雨の時は屋根の下に避難させる
長雨のときには、多肉植物を屋根の下に避難させましょう。前述の通り、多肉植物は湿気を嫌う性質があり、雨に濡れることは生育に支障をきたす可能性があります。多少の雨であればさほど問題はありませんが、雨が続く場合には多肉植物を屋根の下に移動させてください。また、万が一濡れてしまっても水が溜まらないように、受け皿は取っておくと良いです。
夏場は日陰に移動させて直射日光を避ける
夏場は日陰に移動させて、直射日光を避けましょう。多肉植物は日光を好む植物ですが、夏の強い日差しを直接浴びてしまうと、株が傷んでしまいます。最悪の場合、葉が溶けてしまう場合もあるため、夏場は明るい日陰に移すようにしてください。
冬は暖かい室内に移動させる
冬は暖かい室内に移動させて育成しましょう。品種にもよりますが、多くの多肉植物は寒さに弱い性質があります。気温10℃以下を目安に、寒さが厳しくなってきたら室内に移動させて、ある程度暖かい環境で育てると良いです。
室内においては、昼間は日の当たる窓際に置きましょう。夜は窓際の気温は屋外並みに下がるため、窓から離して管理します。寒さが厳しいときには段ボールや発泡スチロールで囲うのも効果的です。
簡易温室を使って冬越しするのもよし
もし、庭やベランダなどの屋外で冬越しさせる場合には、簡易温室を使用するのがおすすめです。多肉植物をビニール袋で覆って、クリップでとめるような自作のものでも十分ですし、市販のものを購入する方法もあります。ただし、簡易温室を使う場合は、昼間に温室内の温度が高くなりすぎないよう気をつけましょう。
多肉植物を屋外での育て方【水やり】

多肉植物の水やりは、一般的な観葉植物の水やりとは異なります。しっかりコツを掴んで、多肉植物を元気に育てましょう。
基本的には生育期と休眠期で水やりを分ける
多肉植物の水やりは、生育期と休眠期で加減を調節するのが基本です。生育期を迎える時期は品種によって異なり、夏型・春秋型・冬型に分けられます。まずは自身が育てる多肉植物がいつ生育期を迎えるのか確認してみましょう。
生育期は土全体が乾いたらたっぷりと水やりします。頻度としては、週1回程度が目安です。一方、休眠期には月1~2回程度を目安に、土の3分の1が湿る程度水やりをします。休眠期には水やりの頻度と量を控えめにするのがポイントです。
必ず土が乾燥している期間を設けること
多肉植物の場合には、確実に土を乾かす期間を設けることが大切です。多肉植物は水分をため込む特徴があるため、一般的な観葉植物よりも必要な水分は少なくなります。よって、土が乾いていないうちに次の水やりをしてしまうと、水分が多すぎて株が腐ってしまうのです。多肉植物の場合は、土全体が「完全に」乾くまで待って、水やりを行いましょう。
迷ったら乾燥気味に水やりをする
もし水やりの頻度や量に迷ってしまう場合は、乾燥気味に水やりしてみましょう。前述の通り、多肉植物は水分が多すぎることで枯れてしまう場合があるため、コツが掴めないうちは水やりは控えめに育ててみてください。回数をこなすことで徐々に適切なタイミングや量を見極められるようになります。
【初心者必見】手軽に始められるおすすめの多肉植物の種類を紹介

ここでは、初心者の方でも簡単に育てられるおすすめの多肉植物として、「ハオルシア属」「セダム属」「クラッスラ属」「カランコエ属」「エケベリア属」の5種類を紹介します。以下の内容を参考に、ぜひお気に入りの1つを見つけてみてください。
ハオルシア属の多肉植物
代表的な種類 | 玉扇、万象、オブツーサ(雫石) |
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特徴 | 硬葉系・軟葉系の2種類、春秋型 |
耐寒性 | やや低い |
耐陰性 | やや高い |
ハオルシア属の多肉植物のほとんどは、15㎝ほどの小さめサイズです。また、ハオルシア属は軟葉系・硬葉系の2種類に分けられます。軟葉系は半球形に成長し、葉先に光を取り込む窓があるのが特徴です。葉が半透明で神秘的な美しさがあります。一方、硬葉系はごつごつした質感の葉に、白い模様や縞などが入っています。1つひとつが個性的なため、選ぶところから楽しめますよ。ハオルシア属の多肉植物は、水を多めに育てるのがポイントです。
セダム属の多肉植物
代表的な種類 | 丸葉万年草、アラントイデス、薄化粧、オーロラ |
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特徴 | 多種多様、春秋型 |
耐寒性 | 普通(種類による) |
耐陰性 | 高い |
セダム属の多肉植物にはカーペットの様に広がるもの、下に垂れるもの、上に伸びるものなど、さまざまな品種があります。グランドカバーとして使われることでも有名です。成長が早く、繁殖力が強い特徴もあります。また、何より丈夫なため、初心者の方でも十分に育てられますよ。セダム属の多肉植物を育てる場合は、水やりは控えめに、たくさん日光浴をさせてあげるのがコツです。
クラッスラ属の多肉植物
代表的な種類 | 金の生る木、火祭り、レモータ |
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特徴 | 木立性・匍匐性の2種類、夏型・春秋型・冬型 |
耐寒性 | やや低い |
耐陰性 | 普通 |
クラッスラ属の多肉植物は上に伸びる木立性と、横に伸びる匍匐性に分けられます。また、クラッスラ属の中でも、夏型・春秋型・冬型に分かれるのが特徴です。小さめなものから大型なものであらゆるサイズの品種があるため、置きたい場所のスペースや雰囲気に合わせて好みの1つを見つけてみましょう。木立性の品種を育てる場合は、下の方の葉が隠れて木質化しやすいため、定期的にお手入れするようにしてください。
カランコエ属の多肉植物
代表的な種類 | 月兎耳、江戸紫、胡蝶の舞 |
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特徴 | 多種多様、夏型 |
耐寒性 | 低い |
耐陰性 | 低い |
カランコエ属の多肉植物はマダガスカル原産の品種が多く、暑さに強い性質があります。一方、耐寒性はあまりないため、温度には気をつけて育てましょう。カランコエ属は同じ属とは思えないほど姿・形が多種多様で、細かい毛に覆われているものや模様があるもの、中には葉から葉を生やして成長するものまであります。カランコエ属の多肉植物は水やりを多めに、しっかりと日光が当たる場所で育てると良いです。
エケベリア属の多肉植物
代表的な種類 | 七福神、コロラータ、花うらら |
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特徴 | 葉が放射状に広がる、紅葉する、春秋型 |
耐寒性 | 普通 |
耐陰性 | やや低い |
エケベリア属の多肉植物は、葉が花びらのように放射状に広がるロゼットタイプです。原種180種に加えて、1000種以上の交配種があります。1度は目にしたことがある方も多いはずです。エケベリア属の多肉植物は、春から夏にかけて花を咲かせ、秋に紅葉するといったように、季節ごとで異なる顔を持ちます。季節の流れを感じながら、育成を楽しめるのがエケベリア属の魅力です。
屋外の多肉植物によくある質問

ここでは、屋外の多肉植物に関するよくある質問にお答えします。
Q. 多肉植物を寄せ植えでプランターに入れて育てています。水やり方法はどうしたらいいですか?
A,基本的には、生育期に土が乾いたらたっぷり水やりします。
プランターに寄せ植えしている多肉植物も、生育期には土が乾いてからたっぷり水やりするのが基本です。しかし、夏型・春秋型・冬型と品種によって生育期を迎える時期が異なる品種を寄せ植えしている場合は、水やりの量や頻度に注意しなければなりません。
最も簡単に水やりを行う方法は、生育期が同じ多肉植物を1つのプランターに寄せ植えすることです。生育期をそろえることで、それぞれの品種について考える必要がなくなります。もうすでに寄せ植えしてしまっているのであれば、1つひとつの生育期を調べてみましょう。
Q. 寒冷地でも育てることが出来る多肉植物はありますか?
A,寒冷地ならセンペルピウムがおすすめです。
センペルピウムはヨーロッパ中南部~中央ロシアの高山の自生する多肉植物で、寒さに強いことで知られています。センペルピウムは長野県などある程度寒さが厳しくなる地域でも、屋外で冬越しさせられるため、寒冷地での育成にもってこいです。
Q. 多肉植物をハンギングにして育てたいのですが、おすすめの品種や種類はありますか?
A,ハンギングにはディスキディアやグリーンネックレスなどがおすすめです。
ディスキディアは小さめの肉厚の葉が愛らしい多肉植物です。ボリュームがある品種なため、吊るすだけでお部屋がおしゃれになります。ディスキディアの中でも、特に人気がある品種はルスフォキリアです。ハート型の葉が特徴的なので、ぜひ探してみてください。
また、グリーンネックレスはビーズのような小さく丸い葉をたくさんつける多肉植物です。ネックレスのような見た目からその名がつけられました。ハンギング向きの植物としては定番の品種で、派手さはありませんがお部屋をかわいらしく演出してくれます。
多肉植物は屋外でも育つ?ケアのコツや注意点を徹底解説のまとめ
多肉植物は鉢に植えたり、地植えしたりして屋外で育てられます。屋外で多肉植物を育てる際のコツや注意点を改めてまとめました。
- 基本的には、日当たりと風通しの良い場所に置く
- 長雨や直射日光にはさらさないようにする
- 冬場は室内に移動させる
- 水やりは生育期と休眠期で調節し、土が完全に乾くのを待ってから行う
今回は初心者の方でも安心して育てられる多肉植物の品種も紹介しました。本記事を参考に、お気に入りの1つを見つけ、屋外で多肉植物を育ててみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。

この記事の執筆者長岡 孝樹
NFDフラワーデザイナー
社団法人日本フラワーデザイナー協会(NFD)デザイナー。「お花や観葉植物で日常を彩る」を実現するためにWebメディアTOKYO KOTOBUKIENを運営中。メディア運営だけでなく、Amazonや楽天にも自社商品を出店。フラワーデザイナーの知識を活かし自社商品の提案など幅広く行う。