沈丁花(ジンチョウゲ)の挿し木について解説!適した時期からご紹介

沈丁花(ジンチョウゲ)の挿し木について解説!適した時期からご紹介
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初春の2月に見頃を迎える沈丁花(ジンチョウゲ)は、春を告げる花として小ぶりでかわいらしい花です。生垣にすることもあって、近くを通るとほのかに甘い香りがしてきますよ。そんな沈丁花を挿し木で増やせるってご存じでしたか? そこでこの記事では
  • 沈丁花(ジンチョウゲ)とはどんな植物?
  • 沈丁花はどうやって増やせる?
  • 沈丁花の挿し木に適した時期はいつ?
  • 沈丁花の挿し木で必要なもの
  • 失敗しない!沈丁花の挿し木の方法
  • 沈丁花の挿し木を成功させるポイント
についてくわしく解説します。沈丁花を挿し木して発根した後の管理やペットボトルでの密閉挿しについてもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んで沈丁花のきれいな花を楽しんでください。

そもそも沈丁花(ジンチョウゲ)とはどんな植物?

沈丁花というと聞き慣れないかもしれませんが、実はとっても身近な花木のひとつなんですよ。まずはどんな植物なのか、理解を深めていきましょう。

早春に綺麗な花と特徴的な香りを持つ常緑の花木

沈丁花は、中国原産の常緑性低木です。耐寒性、耐暑性ともに普通ですが、ひかげに強い植物なのでシェードガーデンに向いています。早春2月に白や紅紫の花を咲かせてとてもきれいな他に、甘くすっきりとした香りが特徴です。沈丁花は、金木犀、梔子と並んで三大香木の1つとされています。生長が遅い樹木で、丈夫で育てやすいため、ガーデニングを始めて間もない方にでも育てられるでしょう。

沈丁花には性別がある

沈丁花には、イチョウと同じように雄株と雌株の性別があることでも知られています。でも国内の沈丁花はほとんどが雄株ばかりで、実がならないんです。そのため沈丁花を増やす方法は挿し木が一般的です。挿し木って難しいんじゃないの? と心配になるかもしれませんが安心してください。作業は難しくありませんし、沈丁花は挿し木しやすい植物として知られています。

沈丁花は成長が遅くとても繊細な植物

沈丁花は成長がゆっくりな植物としても知られています。耐寒性は-5℃くらいで東北南部から南の地方では庭植えにすることができます。ただ繊細で移植が苦手なので、庭植えする場合は場所をよく選んでから植え付けてくださいね。鉢植えにする際は、苗木の根を切らないよう注意しながら根鉢を軽くくずして、半径1mくらいゆとりのある場所に植え付けましょう。

沈丁花は全ての部分に毒性をもつ

沈丁花は幹や葉、果実など植物全体に強い毒性を持つことでも知られています。「ダフネトキシン」や「メゼレイン」という毒は、肌の炎症を引き起こすほかに経口摂取すると、下痢や嘔吐、腎臓や循環系に重度の損傷を引き起こす恐れがあるため絶対に食べられませんペットや動物に対しても同様なので、育てる際には注意が必要です。

沈丁花の花言葉は「永遠」「不死」「不滅」「栄光」

沈丁花の花言葉は、「永遠」「不死」「不滅」「栄光」の4つが良く知られています。これらは沈丁花が常緑樹であること、そして英語名と学名につけられているギリシャ神話のダフネに由来しているようです。 ダフネはキューピッドのいたずらでアポロンから求婚されたものの拒否し、沈丁花の葉に似た月桂樹へ姿を変えたため、アポロンは不滅となったダフネを永遠に想い続けることになったそうです。

沈丁花はどうやって増やせる?

さて沈丁花はどうやって増やすのかなと気になりますね。先ほどお伝えしたように国内の沈丁花は主に雄株だけで、自然交配ができません。増やし方を確認していきましょう。

沈丁花は挿し木で増やすことができる

よく観察すると外側が紅紫色で内側が純白の肉厚な花は見ていてうれしくなりますよね。沈丁花の寿命は約20~30年といわれています。株を増やしてみたい場合は、挿し木で簡単に増やすことができます。春か夏で挿し木する方法に少し違いがありますが、剪定した枝や挿し穂を育てて気軽にガーデニングへ取り入れてくださいね。

水差しや水栽培は成長の遅い沈丁花には難しい

植物の増やし方でよくある水差しや水栽培などのやり方は、成長の遅い沈丁花には向きません。挿し木用の苗床で順調に育っても、鉢上げまでに約3カ月。植え替えできるようになるまで約1年かかります。水差しや水栽培に向いている植物は、成長の早いものに限りますから、沈丁花の挿し木は根が出ないからと慌てず、気長に管理するようにしましょう。

剪定した枝を挿し木に利用できる

沈丁花は約15年も経つとだんだんと花付きが悪く、また周囲の植物の生育に競り負けて株自体が弱まってきます。剪定し過ぎてもよくありませんが、生育の旺盛な春または夏の剪定時期に切り落とした枝を使って挿し木にできますよ。枝が混み合って風通しが悪くなると病害虫が発生しますから、長くなった枝や混み入っている枝だけを付け根から切ってください。

挿し木のどこを切るのか、挿し木のやり方、ポイントなどを紹介

付け根から切るというと剪定方法でよくあるフレーズだけど、初めての方にとっては一体どこを切るの? 失敗したくないなと不安になり適切に剪定できなこともよく聞きます。 そして切り落とした枝を挿し穂にするやり方や適した季節、剪定と挿し木に必要なものを徹底的にご紹介します。挿し木のポイントなどもまとめたので、この記事を読みながら挿し木をすれば上手に管理することができますよ。

沈丁花の挿し木に適した時期はいつ?

沈丁花の挿し木に適した時期は一体いつなのでしょう。適期は春と夏の2回、秋冬の季節が挿し木に向かない理由についても解説します。

沈丁花の挿し木の適期は2つある

挿し木に適した時期は、4月または7月~8月頃の2回です。

適期①:4月【春挿し】

特に4月の挿し木は春挿しといって、前年に伸びた枝を利用します。挿し木には、植物の先端部分を使う天芽挿し、先端以外の枝の途中部分を使う管挿しがあり、沈丁花は天芽挿しを用います。成長が遅い沈丁花は一番伸びやすい部分を使いましょう。根が伸びてくる目安は6月頃です。

適期②:7月〜8月【夏挿し】

7月~8月の挿し木は夏挿しといい、その年の枝を用います。今年伸びた枝は生育が盛んなので比較的発根しやすいですが、冬の寒さにさらされて枯れることもあります。置き場所や管理にはしっかり気をつけながら育ててくださいね。夏挿しで根が伸びてくる目安は、9月や10月でしょう。

適期以外の秋冬の挿し木は成功させるのが難しい

春や夏以外の挿し木はどうなんだろうと気になりますね。でも適期以外は生育がさらにゆっくりになるので、まず大きくなることがありません。大きくならないということは根が出ないので、その後の成長は難しいでしょう。挿し木する場合は、何本か挿し穂を準備してうまく育ったものをポット上げして育てていくようにしてください。

沈丁花の挿し木で必要なもの

沈丁花の挿し木で必要なものは次の通りです。ひとつずつくわしくご紹介します。
  • 挿し穂
  • 鉢植え
  • 鉢底ネット・鉢底石
  • 挿し木用土
  • 剪定用バサミ
  • 軍手
  • 発根促進剤

挿し穂

まずは一番必要な挿し穂、つまり沈丁花の枝です。春挿しなら前年に伸びた枝、夏挿しなら今年伸びた枝を使います。どこを切るか気になりますね。挿し木する前日に株へ十分に水やりして、翌日先端から約10~15㎝くらいを切り取りましょう。先端の方について葉を2~3枚残して、残りの葉っぱは取りのぞきます。

鉢植え

準備する鉢植えは、プラ鉢、ビニールポット、横長のプランター等がいいでしょう。あまり大きな鉢植えは向きません。ホームセンターや100均ショップの園芸コーナーで販売されている苗箱か、2号サイズの鉢を準備してください。 大きい鉢では水分量が多すぎる上に、雑菌が繁殖しやすくて挿し木が腐ってしまう可能性も。清潔な環境を保つためにも、小さめの鉢を使いましょう。

鉢底ネット・鉢底石

鉢植えを使用する場合、鉢底ネットと鉢底石が必要です。水はけと通気性を維持する鉢底石は必須です。しかし鉢底ネットは意外と固くて、手に刺さる可能性があるので軍手をつけてから作業するなど気をつけましょう。軽石を焼成加工した鉢底石は鉢の1/3まで入れておきます。

用土

挿し木用の用土は清潔さが大切です。有機質の成分が多い用土だとせっかく準備した挿し木の切り口から雑菌が入り、成長する前に腐って失敗する可能性があります。雑菌が繁殖しにくい赤玉土や鹿沼土、パーライトなどがおすすめです。挿し木用培養土などを使うのもいいでしょう。必ず新しい用土を使ってくださいね。

剪定用ハサミ

沈丁花の枝は固いので切れ味の良い清潔な剪定用ハサミを使いましょう。利き手用のハサミは力が入りやすく、長く使い続けられるため園芸コーナーを探してみましょう。錆びているハサミは切りにくく、木を傷つけてしまうこともあります。傷ついた木は病気になりやすく、株が弱って枯れてしまうため、切れ味の良いハサミで剪定して体力を維持できるようにしてください。

軍手

幹や葉、樹液など全てに毒性が含まれている沈丁花。作業する場合は必ず軍手や園芸用のゴム手袋を身につけてくださいね。肌が弱い方は触れただけで真っ赤に腫れ、痛みを伴う炎症反応が出ます。軍手の下にもう一つ手袋をつけるとさらに安全に作業することができるでしょう。

発根促進剤

発根促進剤は、植物の根の発達を促すための薬剤です。粉末タイプや液体タイプがあり、使い方は植物の枝の切口や根につけることで、植物の細胞分裂を活性化させて発根を促す効果があります。主な成分はアミノ酸やミネラルで成長ホルモンと呼ばれる成分が入っているため、根が出るばかりか丈夫にもなるという効果も期待できますよ。

失敗しない!沈丁花の挿し木の方法

必要なものを準備できたら、次は挿し木の方法についてご紹介します。ポイントは3点です。挿し床の準備と挿し穂の準備と挿し木の方法、最後に挿し木後の管理についてです。

挿し床の準備

まずは挿し床を準備しましょう。挿し床とは、挿し穂を挿すための用土と鉢です。

① 鉢に鉢底ネット、鉢底石を敷く

鉢に鉢底ネット、鉢底石を敷きます。挿す枝の数に合わせてサイズを調節してください。ナメクジや害虫の侵入を防ぐために鉢底ネットは必ず使いましょう。鉢底石は鉢植えの1/3くらいがいいでしょう。

② 鉢に用土をいれ水を与えて十分に湿らせる

鉢底石をいれたら、挿し木用土や赤玉土、鹿沼土を入れます。鉢の縁から2㎝程度まで入れるとちょうどいいですよ。培養土は挿し木にはあまり向きません。発根まで時間がかかる樹木類は特に使わない方が無難です。赤玉土は大粒だと乾燥しやすいため、小粒を利用してください。鉢に用土を入れたら、一度水をたっぷりかけて、十分に湿らせておきます。

挿し穂の準備・挿し木の方法

次は挿し穂の準備と挿し木の方法について、順を追って確認しましょう。

① 挿し木を行う前日にたっぷりと水やりを行う

まず剪定する前日の株へ、たっぷりと水やりを行ってください。春挿し、夏挿しのどちらでも枝の先端から挿し穂用に剪定するため、十分に吸水させておきましょう。

② 健康な枝を10cm〜15cmほどの位置でカット

剪定する枝はさきほどお伝えしたように、混みいった枝や長くなり過ぎた枝が望ましいです。もちろんそうでなくてもいいのですが、枝に病気の様子が見られない健康なものを選びましょう。成長がゆっくりで尚且つ剪定し過ぎると株へダメージが行きます。水やりした翌日に先端から約10~15㎝の位置でカットしてください。

③ 上葉を2〜3枚だけ残し、挿し木の切り口を斜めにカット

カットした枝を差し穂用にさらに手を加えますよ。根がでないと吸水がうまくできませんから、先端から数えて上葉を2~3枚だけ残して、残りの葉は取り除きます。発根させる部分にも工夫が必要。水の吸収面積を広くとるために切り口をさらに斜めにカットしておきましょう。

④ 挿し穂を水に1時間ほど浸す

挿し木の切り口を斜めにカットしたら、挿し穂を水に1時間ほど浸します。吸水量を調整するためと発根促進剤を塗る前に、切り口を清潔に保ちますよ。プラスチックのカップや適度な容器へ水を入れるのですが、ここには肥料を入れないようにしてください。発根するまでは清潔さがとても大切です。

⑤発根促進剤を切り口に塗る

水に浸して1時間経ったら、発根促進剤を塗りましょう。発根促進剤は粉末タイプ、液体タイプどちらでもOKです。多く流通しているのは粉末タイプでこちらは切り口に塗るだけととても使い方が簡単です。 水に溶かして使用する方法もあり、こちらは発根剤に適度な水を混ぜてとろっとさせて使用し、根の成長を促したい植物に塗布しましょう。発根剤を大量につけると効果が出ず、根が出にくくなり挿し木に失敗することもあるので、注意してください

⑥ 用意した挿し床に挿し穂の1/2ほどまで挿す

発根促進剤を塗ったら、いよいよ挿し床へ挿し穂を挿します。用土の入った鉢に細い棒で中心に穴を開けて、1/2くらいまで挿してください。周りの用土はピンセットで押さえましょう。用土が乾燥しないようにたっぷりと水を与えます。新芽が出てきて、10㎝くらいの長さまで発根したら、挿し木成功です。

挿し木後の管理方法

挿し木後の管理方法はどうすればいいのでしょう? やっぱり気になってしまい、あれこれと手を加えてしまいがちですが、ここはしっかりと落ち着いて管理しましょう。

発根するまでは腰水か毎日水やりを行い乾燥させない

大きくならない原因の1つは挿し穂が乾燥することが挙げられます。発根するまでは鉢植えの下へ鉢皿を敷き、そこへ水を入れて下から吸水させる腰水か、毎日水やりを行って乾燥させないように注意しましょう。切り口から発根するまでは水を吸い上げる力が弱いので、土が乾燥しないようにします。

直射日光の当たらない明るい日陰で管理

挿し木後は水やりしながら、直射日光の当たらない明るい日かげで管理します。挿し木後に強い光は葉焼けや乾燥を招きがちです。根が伸びるまでに枯れてしまう可能性もありますので、2カ月は明るい日かげの場所へ置いてくださいね。2カ月経過して根が10㎝くらい伸びたようであれば、1株ずつ鉢に植え替えていきましょう。

沈丁花の挿し木を成功させるポイント

成長の遅い沈丁花の挿し木を成功させるポイントが4点ありますよ。挿し木で失敗する原因と合わせて解説します。

よくきれるハサミやカッターで切り口を斜めにカット

まずは挿し穂を作る時のポイントです。先端の枝を切るため、切り口は枝の下部になります。唯一の切り口部分を、よく切れるハサミやカッターで斜めにカットしましょう。 切り口がギザギザしていたり、切り口に何度も傷があったりすると雑菌が入りやすいんです。また斜めに切るのは面積を増やして吸水量を上げるため。しっかり水分を吸い上げられるようにしてください。

発根促進剤を使用する

2つ目のポイントは、発根促進剤を使用すること。発根促進剤は粉末や液体、ジェルタイプと色々ありますが、初めての方は管理のしやすい粉末を購入してみるといいでしょう。粉末タイプは保管も楽ですし、粉のまま塗るだけなのでおすすめです。ただし塗り過ぎは、逆に根が出にくくなりますので、くれぐれも規定量を守って使用してくださいね。

挿し床の用土は肥料分がなく、水はけの良い土を使用する

3つ目のポイントは挿し床の用土について。これは何度かお伝えしているように、肥料分がない水はけの良い土を使用すといいでしょう。肥料分が入っていると菌が繁殖しやすいため、枝が腐ってしまう可能性があります。成功させるには、肥料分のない赤玉土や鹿沼土などを使ってくださいね。

腰水か毎日の水やりで乾燥させないようにする

最後のポイントは、鉢上げまで土を乾燥させないことです。挿し木をした後は半日は日が当たり、半日は日陰になる明るい日かげで管理します。気温の上昇や風通しにより乾燥しがちです。葉からの水分蒸発もあるので、鉢皿で腰水をするか、毎日の水やりで乾燥させないようにしてくださいね。

沈丁花の挿し木で発根した後はどうする?

さて、ここまで読んでお持ちの沈丁花が無事に発根しました。やりましたね。挿し木で発根した後は、庭植えか鉢植えへ植え替えする必要があります。植え替えに適した時期は3月~5月、または9月~10月ですよ。その際のコツをご紹介します。

根が10cm〜15cmほど成長したら鉢上げを行う

鉢上とは、発根して大きく伸び始めた苗を鉢植えへ植え替えすることです。目安は挿し木してから2カ月後、根が10㎝~15㎝ほど成長したら。発根していたら、新芽が節から伸びてきていますよ。鉢上げ先の鉢は3号や4号などのゆったり用土を入れられる大きさが望ましいです。沈丁花は頻繁な植え替えを嫌うので大きめの鉢へ鉢上げしましょう。

挿し木の植え替えに必要なもの

挿し木を植え替えする上で必要なものは次の通りです。
  • 培養土(必要であれば赤玉土も)
  • 鉢底石
  • スコップ
  • 鉢底ネット
  • 作業用手袋
  • 支柱(植物の高さにあったもの)
  • 園芸用ビニールタイ(支柱に固定するときに使用)

挿し木の植え替え方法

挿し木の植え替え方法は、基本的には普通の植え替えと同じです。ただ根鉢を崩さないよう気をつけて植え替えてください。
  1. 鉢底ネットを切ってセットし、鉢底石をしく
  2. 土を少し入れておく(土を混ぜる必要がある場合は混ぜておく)
  3. 根を傷つけないように慎重に掘り起こし、植え替え先の鉢に移す
  4. 土をかけて、支柱で固定する
  5. 水をかける

地植えを行う場合は3〜4年ほど鉢で育てると枯れにくい

沈丁花の植え替えのタイミングは、鉢底から白い根が出てきたらです。地植えする際も3~4年ほど鉢で育てると枯れにくいんですよ。鉢上げして3~4年じっくりと育ててから、地植えしましょう。地植えする場所は明るい日かげで水はけのよい場所がおすすめです。もし水はけが悪い場所なら、土を周囲より盛り上げてから植えると水はけが良くなりますよ。

挿し木でよくあるトラブル例

沈丁花の挿し木では慎重にしてもトラブルが起きる場合があります。このトピックでは、挿し木の作業でよくあるトラブルについてご紹介します。ぜひ失敗例として確認しておきましょう。

根が出ない

まずよくある質問で、挿し木をしても根が出ないということが挙げられます。根が出ない場合、考えられるのは挿し穂に雑菌が入って腐ってしまったことです。特に11月から2月にかけては生育がほぼありません。その時期に挿し木しても根は出ません。有機質の肥料や用土を使って雑菌が繁殖し挿し穂が腐ってしまったことも考えられるでしょう。

大きくならない

また挿し木をしても、腐りはしないけれど大きくならないなんてことを伺います。大きくならない原因は寒い時期で生育がないこと、そもそも生育がゆっくりであることが考えられます。11月~春まではほとんど生育がない沈丁花、春挿ししても6月にぴったり発根するとも限らないんです。気長に待ちましょう。

枯れてしまう

また枯れてしまうというトラブルが考えられます。枯れてしまうということは、水分が不足している可能性がありますよ。水やりを忘れて土と挿し穂が乾燥すると、せっかく発根しても葉からの蒸発に吸水が間に合わず挿し穂が枯れていきます。毎日水やりしにくい場合は、鉢皿を使って腰水がおすすめです。

沈丁花の密閉挿しとは?

さて最後に挿し木の中でも果樹や花木に用いられる「密閉挿し」についてご紹介します。密閉するの? と不安になった方も安心してください。きちんとした挿し木の方法のひとつです。

密閉挿しとは湿度の高い状態で管理する方法

そもそも密閉挿しとは、挿し穂を密閉して湿度の高い状態で管理する方法です。葉のある状態、水分の蒸発が盛んな時期だと挿し穂がしおれやすく、失敗してしまうこともあるんです。発根しやすい環境を維持するために、ずっと多湿の状態にしておきます。接ぎ木で密閉状態にするのも同じ原理です。

ペットボトルを使って簡単にできる

密閉挿しなんて難しいなんて思った方がいるかもしれません。しかし身近なものを使って簡単にできるんです。身近なものとはペットボトルのこと。水分の蒸発を防ぎながら、100%の多湿状態を維持する環境にしながら、なおかつ高さもあり、幅を取らないとても便利な道具です。

ペットボトルを使った密閉挿しに必要なもの

ペットボトルを使った密閉挿しに必要なものは次の通りです。特にペットボトルは2リットルサイズの大きなものがいいですよ。 密閉挿しに必要なもの
  • ペットボトル(2リットル規格が好ましい)
  • はさみ
  • 赤玉土
  • 霧吹き
  • 水を張るボール
  • 発根促進剤

ペットボトルを使った密閉挿しの手順

手順は普通の挿し木と変わりありませんが、ペットボトル独特の管理方法があります。
  1. ペットボトルの半分の位置で水平に切り離す
  2. 水はけの良い土をペットボトルの下部分へ入れる
  3. 用土の表面まで水を注ぐ
  4. 切り口を斜めにカットした挿し木へ、発根促進剤を塗る
  5. 用土へ挿し穂の1/2くらいまで挿し、できれば容器の底に触れないよう注意する
  6. 挿し終わったら、そっとペットボトルを傾けて余分な水を捨てる
  7. ペットボトルの上半分を被せる
ポイントは、ペットボトルの密閉挿しでは日よけの必要がないことです。また乾燥が強い日はペットボトルの栓をして蒸発を防いでください。 ペットボトルの底に根が回っていれば、挿し木の成功です。ペットボトルの上半分を外してできるだけ自然の状態に近づけて管理しましょう。9月~10月になったら植え替えです

【まとめ】沈丁花(ジンチョウゲ)の挿し木について解説!適した時期からご紹介

最後まで読んでみていかがでしたでしょうか。沈丁花の挿し木を難しいと思うかもしれませんが、実は案外カンタンです。特に挿し木をする上で適期や管理の方法を間違えなければ、上手に新しい苗ができますよ。真っ先に春を告げる白や紅紫色の香り豊かな沈丁花を増やして、庭植えを楽しんだり、親しい方への贈り物にしてはいかがでしょう。 この記事のポイントは
  • 沈丁花は早春に綺麗な花と特徴的な香りを持つ常緑の花木
  • 沈丁花は全ての部分に毒性をもつ
  • 沈丁花は挿し木で増やすことができる
  • 挿し木の適期は春と夏の2回
  • 挿し木を行う前日にたっぷりと水やりを行う
  • 上葉を2〜3枚だけ残し、挿し木の切り口を斜めにカット
  • 挿し床に挿し穂の1/2ほどまで挿す
  • 発根するまでは腰水か毎日水やりを行い乾燥させない
  • 直射日光の当たらない明るい日陰で管理
  • ペットボトルを使った密閉挿しの方法もある
でした。 最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。