ツバキの実は何に使う?4つの活用方法と収穫から発芽のやり方まで

ツバキの実は何に使う?4つの活用方法と収穫から発芽のやり方まで
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目次

皆さんは椿の実について知っていますか?椿は日本でよく見かける植物の一種で「ヤブツバキ」という名前で呼ばれ、古くから庭木として親しまれています。また椿の種類は世界に約5000種も存在するといわれており、現在でも品種改良が続けられています。そんな椿ですが、実までよく観察したことがないという方も大勢おられると思います。 そこでこの記事では、
  • 椿とはどのような植物なのか
  • 椿の実はどんな感じ?
  • 椿の実の様々な使い道
  • 椿の実から発芽させよう
などのテーマについてご紹介していきたいと思います。 この記事を読み進めながら、椿の実の様々な使い道やベストな発芽方法について理解を深めてくださいね。

椿とはどのような植物なのか

まず、椿とは一体どのような植物なのかというところから見ていきたいと思います。椿の基本情報を知ることで、椿の魅力的な生態もわかってきますよ。

椿は古くから日本人にとって身近な花木

椿は古くから日本人にとって大変身近な花木です。公園や庭木としてよく目にする植物の一種で、光沢のある濃い緑の葉と鮮やかな花が特徴的な植物です。名前の由来は花より葉の美しさから来ているという説が多いのも、椿ならではの特徴といわれています。また流通の現場では、ツバキ属全体を「ツバキ」と呼ぶことも多いため、椿を「ヤブツバキ」とわかりやすく区別して呼ぶこともあります。

椿の基本情報

それでは椿の基本情報についてまとめてみましょう。椿は日本原産で、『日本書紀』に景行天皇(71~130年)が土蜘蛛討伐の行幸で「海石榴(ツバキ)」で作った道具を使用されたという記録が残っています。また正倉院には約1200年前の神事で使われた「椿杖」が保存されており、古来より椿は不思議な力を持つ植物として大切にされてきました。
科・属名 ツバキ科・ツバキ属
原産地 日本の本州以南の地域・台湾・朝鮮半島南部・中国(山東・浙江)
開花時期 11月~12月・2月~4月
花の色 赤・ピンク・白・複色
別名 ヤブツバキ

椿の実の特徴や正しい育て方を解説

椿の基本情報に関する知識が分かったところで、次は椿の実の特徴や正しい育て方についてみていきましょう。椿の実は、小さなリンゴのような果実の中に実が入っており、実は「椿油」として古くから採油され利用されてきました。かつては日本の特産資源として、食用・薬品・化粧用・燈用・工芸用に必須のもので、遣唐使・遣隋使が中国にもたらしたそうです。

椿の実がなる時期はいつ?

そんな数々の魅力を持つ椿の実ですが、椿の実がなる時期はいつなのでしょう?項目別に椿の実がなる時期についてご紹介していきます。

春先に開花した椿は2月から3月に緑色の実をつける

椿は春先に開花したものは2月から3月に緑色の実をつけます。椿は個体差が激しい植物のため、実のなる時期がバラバラという特徴を持っています。椿の実はクルミやピンポン玉くらいの大きさをしており、実の中に6~9粒の種子が入っています。これを乾燥させて搾取すると椿油を採油できます。

椿の収穫時期は9月から11月に最盛期を迎える

一般的に椿の収穫時期は9月から11月に最盛期を迎えます。上記でもご紹介したように、椿は2月から3月に小さな緑色の実をつけてから、約半年後かけて実が熟し9月以降に収穫時期となります。木の上で熟した実からは分厚い外皮が自然に割れ、中から黒く艶のある種子が取れます。

椿の実の色は何色?

椿の実の色はいったい何色をしているのでしょう?椿の実と聞くと茶色を想像してしまいますが、実は様々な色があります。では項目別に具体的にみていきましょう。

椿の実は、緑色や赤味を帯びた茶色、橙色

椿の実には、緑色・赤味を帯びた茶色・橙色などの色合いをしたものが多く存在します。とはいえ、椿の種類や実の成熟度合によっても色は異なります。実の色合いは、成長過程で変化するだけではなく、季節・環境・育て方でも影響を受けます。どの色合いも椿の美しさを引き立てるためには欠かせない要素といえます。

椿の実は成長するにつれて色を変える

椿の実は成長するにつれてどんどん色を変化させていきます。では具体的にどのような色の変化がみられるのでしょう。一般的に椿の実が熟して割れる時期には濃い茶色や橙色をしており、色にばらつきがなく全体的に均一した色になっていると、成熟している可能性が高い実です。また中に入っている種子も黒光りをしているイメージを持ってもらうと、椿の実の色の変化の想像がつきやすいと思います。 [box02 title=""実の色の変化""] 緑色→橙色→茶色→濃い茶色や橙色→一貫した色合い [/box02]

椿の実はどんな感じ?

では椿の実はいったいどんな感じをしているのでしょう。椿の実は一般的に球状から卵型をしており、直径2~5㎝ほどです。このようなサイズの実ですが、触った時の感触はどんな質感をしているのか気になりませんか?

椿の実の外皮はしっとりとしていてなめらか

椿の実の外皮は硬いですが、それでいてしっとりして滑らかなのが特徴として挙げられます。他の植物の実と比べても独特な質感があり、触れた時の手ごたえをしっかり感じ取ることができます。そんな椿の実の中に入っている種子はどんな感じで中に入っているのでしょう?

実の中身は、黒い種子が含まれる

椿の実は、椿の木の枝に複数の実が密集して生育します。それらの実の中に、1つの実に対して1粒~9粒の黒色の種子が入っています。椿の種子が1つの実の中に入っている粒数は一定ではないため、実ごとで得られる種子の数が違います。この違いも椿の種子を収穫する楽しみの一つといえます。

収穫時期の実の特徴

椿の収穫時期を迎えた実の特徴は、実が黒色に変化し、種子が中で形成された状態で目視できる状態が収穫の目安です。椿の実は完熟した状態で収穫することが大変重要ですし、収穫後の実は適切な方法で保存することで、必要に応じて利用することが可能です。

椿の実が熟すと口が開くが、そこから黒い種が見えると収穫時期

8月の終わり頃になると、椿の実が熟し収穫期を迎えます。椿の実が熟すと分厚い外皮が自然に割れ、まるで口を開いたようにみえ、中にある黒く艶のある種子が目視できるようになると収穫期のサインです。外皮の割れ目はだいたい3つくらいで、これは種子ができる子房室が3つに分かれているため割れ目も3つになります。

今年咲いた花からできた種ではなく、去年咲いた花からできたもの

椿の種は、今年咲いた花からできた種ではなく、去年咲いた花からできたものです。このように、椿の種は長い時間をかけてやっと収穫できる状態まで成長するため大変貴重な実で、高いところになっている実から完熟して自然に下に落ちてきた実に至るまで、五島列島では丁寧に全て手作業で収穫されます。

椿の実の様々な使い道①食用にする

長い年月をかけて熟し収穫された椿の実の使い道はどうするのが良いのでしょう?まずは食用にする」という使い道から項目別に詳しくみていきましょう。

一般的な利用法としては、椿の実を砕いて粉末にし、茶や料理に加える

一般的な椿の実の利用法としては、椿の実を砕いて粉末にし、茶や料理に加えて食べる方法があります。椿の実には苦みがありますが、その特徴的な風味を楽しめます。また椿の実のエキスを抽出し、ソース・調味料に使用して食べることもありますが、食用として利用する場合は摂取しても安全な品種を選ぶことが大切です。

貴重な植物油の一種の椿油は、日本や中国などで古くから利用されてきた

椿の種子から抽出される貴重な植物油の一種である椿油は、日本・中国などで古くから利用されてきました。椿油は椿の種子を収穫した後、乾燥させて水分を除去させ、圧搾機を使って圧搾するか、化学的な精製を行い椿油を抽出します。このような過程を経て出来上がった椿油には、以下の特徴があります。
  • ビタミンE・オレイン酸・リノール酸などの栄養が豊富に含まれている
  • 肌にしっとりとした保湿効果をもたらす
  • 抗酸化作用を持つため、肌の老化を防ぐ助けをする
  • 髪に艶・まとまりを与える働きをする

食べる際には正しい調理方法や容量を守ろう

椿の実を直接食べる場合は、正しい調理方法や容量を守ることが大切です。また種に小さな穴が開いているものは、虫が食べたものもしくは巣を作っている可能性があるので取り除いてください。他にも白っぽくなりカビが生えているものや汚れがついている種は取り除くようにして、健康に影響が出ない範囲で食べるようにしてください。

椿の実の様々な使い道②美容に使う

次に椿の実を美容に使う」という使い道についてご紹介していきたいと思います。どのような方法で美容に使えるのか、項目別に詳しく解説していきます。

椿油は保湿オイルやヘアオイルとしても使える

椿油には上記でご紹介したように、保湿効果が大変あります。そのため椿油は、保湿オイル・ヘアオイルとして、顔・体・髪に十分使えます。椿油は自然の恵みから出来たスキンケア・ヘアケアなので、肌の弱い方にも安心して利用できるオイルです。

椿油は保湿効果や髪のツヤ、まとまりを与える働きもある

椿油は保湿効果や髪のツヤ・まとまりを与える働きがあります。使い方としては、軽くマッサージして肌に浸透させたり、少量を髪につけて毛先を整えることで、髪の艶・まとまりを高めることが可能です。椿油は古来より人々に使われてきましたが、その優れた効果から今なお注目を浴びているスキンケア・ヘアケアです。

椿の実の様々な使い道③薬用

では椿の実を薬用」として使う使い道について、項目別にみていきましょう。薬品として椿の実を使用する場合は、必ず専門家の指導の下で、適切な使用方法・容量を守ることを心がけてください。

漢方薬や伝統的な民間療法で使用されることがある

椿の実は、漢方薬や伝統的な民間療法で使用されることがあります。一部の地域では食用として椿の実を煎じて飲むことで、健康や美容に良い効果があると信じられています。椿の実を扱う上で一番大切なことは、酸化が進まないように冷暗所で保管し、なるべく短期間で使い切れる容量に抑えておくことです。

椿の実には、抗酸化作用や抗炎症作用があるとされる

椿の実には、抗酸化作用・抗炎症作用があるとされています。そのため紫外線による炎症を抑制する作用があり、最近の研究では女性ホルモンのような作用もあることが分かっています。その研究から椿の実には美肌を作る効果があるとして、化粧品の材料にもよく使用されるようになりました。

椿の実の様々な使い道④装飾やクラフト

椿の実の4つ目の使い道は装飾やクラフト」として使う方法です。椿の実は地域や文化で様々な使われ方をしているため、様々な地域で椿の実をどうするかについて調査してみるのも楽しいかもしれません。

特徴的な形状や色彩から装飾やクラフトの材料として使用される

椿の実は特徴的な形状や色彩をしていることから、装飾やクラフトの素材としてよく使用されます。例えばドライフラワーアレンジメント・リースなどに組み込んだり、ハンドメイドアクセサリー・クラフト作品などに組み合わせたりすることが可能です。椿の実の活用方法は、同じ日本の中でも地域や文化によって違いがあるので、いろいろ調べてみるのも楽しいですよ。

ハンドメイドの作品に組み合することで、自然の美しさを表現

椿の実をハンドメイドの作品の素材に組み込むことで、自然や風景の美しさを存分に表現することが可能です。椿の実はクルミ・ピンポン玉くらいの大きさで、お茶の種より一回り大きいサイズです。また成熟度合や環境により椿の実の色に違いがあるため、風景を表現する場合のハンドメイドの素材としてバリエーション豊かな色を使えるところも椿の実の魅力の一つです。

椿の実がならないのはなぜ?どうするべき?

ここからは、椿の実がならないのはなぜだと思いますか?またこのような事態に陥った場合、どうすべきなのでしょう?それでは項目別にみていきましょう。

椿の実がならないのは受粉ができていないから

椿の実がならない理由として、椿の花が受粉できていないからということが考えられます。唯一、椿を受粉させてくれるのは、椿の密を吸いに来るヒヨドリなどの鳥なのです。そのため大きくなった樹の上のほうに咲いている花を人工的に受粉させるのは不可能なので、鳥が受粉させてくれるのを楽しみに待つしかありません。

冬に開花時期を迎える椿は、虫や風によって受粉されない

椿の実は寒い冬に開花時期を迎えるため、虫や風によって受粉させられません。つまり他の草花のように、花を行き来して花粉を運搬してくれる虫はほとんど存在しません。また椿の花の花弁は厚みがあり、おしべとつながっているので大変丈夫なのです。

椿の受粉は蜜を吸いに来る鳥が行う

椿の受粉は密を吸いに来るメジロ・ヒヨドリなどの鳥が行います。先ほどご紹介したように、椿の花弁はおしべとつながっているので、メジロやヒヨドリのような小さな鳥はしっかり花弁に足をかけて吸密します。密は上部な筒状のおしべの奥にあり、正面から顔を突っ込んで密を吸います。メジロやヒヨドリなどの鳥が密を吸う鳥の顔に花粉がつき、他の花へと運ばれ晴れて受粉するのです。

椿の実から発芽させよう

最後に、椿の実から発芽させる方法について簡単にご紹介したいと思います。椿は簡単に増やすことができるので、是非挑戦してみてくださいね。

椿は実生で簡単に増やすことができる

椿は実生で簡単に増やせ、そのまま土に植えて発芽させることが可能です。ただ、椿の種が乾燥してしまうと極端に発芽率が低下するといわれているため、地面に落ちている椿の種は1~2日水に浸して乾燥を防いでから植えたほうが発芽率が良くなります。

実生とは草木が種から芽を出して生長すること

椿の実生とは、草木が種から芽を出して生長することを指します。またこのようにして育った苗を実生苗と呼びます。一般的に実生は挿し木などに不向きな植物や種から育てたものは、環境に順応しながら成長するため、より強健に育つ傾向があります。

実の落下で種子が落ちることのある椿は実生しやすい

椿の実は熟すると自然に種子が落下することがあり、実生しやすい傾向にあります。日本原産の植物だけに、日本の風土・気候・環境にピッタリ合っているため、種子が落ちたまま生育環境に自然に適応し、発芽してどんどん成長していきます。

椿の実から種を取る方法

では椿の実から種を取る方法をご紹介していきましょう。五島列島での椿の伝統的な収穫方法は「手摘み」で、すべての工程を一つ一つ手作業で行います。椿の実を収穫してから種を取って椿油を作るまでには長い道のりがかかります。これこそがまさに椿油が高価といわれる所以なのです。では、椿の実から種を取る手順についてみていきましょう。
  1. 椿の実を手摘みで収穫する
  2. 自然に割れていない椿の実は、天日干しや日陰で干して水分を抜き、実が自然に割れるのを待つ
  3. 実が割れると一つ一つ手で外皮をむき、中の種を取り出す

【まとめ】ツバキの実は何に使う?4つの活用方法と収穫から発芽のやり方まで紹介

この記事では椿の実の収穫方法や活用方法などについて解説してきましたがいかがでしたか?
  • 椿は古くから日本人にとって身近な花木である
  • 椿はツバキ科ツバキ属の植物である
  • 椿は春先に開花し、2月~3月頃に緑色の実をつける
  • 椿の収穫時期は9月~11月頃に最盛期を迎える
  • 椿の実は緑色・赤味を帯びた茶色・橙色をしている
  • 椿の実は成長するにつれて色を変える
  • 椿の実の外皮はしっとりとしており滑らかな感触をしている
  • 椿の実の中には黒く艶のある種子が入っている
  • 椿の実が熟すと口が開き、そこから黒い種子が見えると収穫のタイミングである
  • 椿の実の使い道には「食用」「美容」「薬用」「装飾やクラフト」として活用する方法がある
  • 椿の実がならないのは受粉していないからである
  • 椿は実生で簡単に増やせる
ということが、この記事を読んで理解いただけたと思います。椿の実は古来より椿油として日本人の生活に溶け込んでいました。とはいえ、椿油を採油するには長い工程を経なければいけません。そして最近では椿油の良さにあらためて気づき、様々なところで椿油を活用する動きがあります。この記事を読んで椿油に興味を持った方は、是非実際に椿を育てたり椿油を使ったりしてみてくださいね。 最後まで読んでいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENでは他にも様々な記事をご用意しておりますので併せてご覧ください。