ヒメリンゴの育て方を紹介!苗木の選び方から鉢植えでの栽培方法まで

ヒメリンゴの育て方を紹介!苗木の選び方から鉢植えでの栽培方法まで
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目次

皆さんはヒメリンゴの育て方を知っていますか?そもそもヒメリンゴ(別名「クラブアップル」)を育てたことの無い方も多いと思います。ヒメリンゴは通常のリンゴより小さな果実をつけ、盆栽・庭木・観賞用としても人気の高い植物です。一度ヒメリンゴを育ててみたいと思っても、いざヒメリンゴを育てるとなるとどのような育て方をすればよいのかわからないという方もおられると思います。 そこでこの記事では、
  • そもそもヒメリンゴはどんな植物なのか
  • ヒメリンゴの育て方のポイント
  • ヒメリンゴの植え替え・植え付け
  • ヒメリンゴの増やし方
などについてご紹介していきたいと思います。この記事を読み進めながら、ヒメリンゴのベストな育て方について理解を深めてくださいね。

そもそもヒメリンゴ(姫りんご・姫リンゴ・姫林檎)ってどんな植物なの?

そもそもヒメリンゴ(姫りんご・姫リンゴ・姫林檎)とはどんな植物なのでしょう?まずはヒメリンゴ(姫りんご・姫リンゴ・姫林檎)の基本的な概要からみていきましょう。

中国が原産のバラ科リンゴ属の落葉樹

ヒメリンゴは、お祭りの屋台で定番のリンゴ飴に使われている小ぶりのリンゴといえばすぐわかってもらえるかもしれません。そんなヒメリンゴは中国で栽培されている原産のバラ科リンゴ属の落葉樹です。食用として流通しているヒメリンゴには「ふじ」「紅玉」の偶発実生種の「アルプス乙女」という品種が良く知られています。「アルプス乙女」は、皮が渋く果実は通常のリンゴよりやや硬くて酸味が強いという特徴を持っています。

普通のリンゴより小さめの実をつける

ヒメリンゴは普通のリンゴより小さめの実をつけ、9月~11月が収穫時期です。国内では主に長野県で生産され、春に白・ピンクのお花を咲かせ、秋にピンポン玉くらいの大きさの実をつけます。あまりスーパーなどでみかけない果実ですが、みかけたら是非一度手に取って実物を観察してみてくださいね。

薄ピンクの花を咲かせ、盆栽など観賞用の樹木として人気

ヒメリンゴは薄ピンクの花を咲かせ、盆栽など観賞用の樹木として人気が高いです。花もとても可憐で、果実も小さいため屋内屋外問わず盆栽などの観葉用の樹木として栽培されています。そんなヒメリンゴですが、育て方のポイントとしてどのような点に注意を払えば良いのでしょう。

ヒメリンゴの育て方のポイント①置き場所

まずは、ヒメリンゴの「置き場所」からみる育て方のポイントについてご紹介していきたいと思います。ヒメリンゴはどのような環境を好むのか、読み進めて理解を深めていってくださいね。

日当たりと風通しのいい場所を好む

ヒメリンゴは、日当たりと風通しのいい場所を好みます。日のよく当たる風通しの良い戸外で管理するのがベストで、冬は風や霜に当たらないような場所に置き、春の開花中は雨が避けられる場所に置くことが大切です。室内で育てる場合は、春~秋にかえては2~3日に一度、冬は一週間に一度程度は陽の当たる場所に置くようにしてください。また室内では冷房や暖房の風が直接当たらないように心がけた育て方をすることが大切です。

強風の当たる場所は避ける

ヒメリンゴは穏やかな環境を好むため、強い風の当たる場所を避けた育て方をするようにしてください。風で庭木が倒れてしまう恐れがありますし、倒れなかったとしても樹木が強風の影響で痛んでしまう可能性が高くなります。育て方として、風通しの良い場所で管理することは大切ですが、風通しの良い場所=強風の当たる場所ではありません。

夏は強い日差しや西日を避けた落葉樹の影などがよい

ヒメリンゴは夏の強い日差しや西日が苦手なため、それらの場所を避けた育て方が大切です。夏の強い直射日光や西日は葉焼けや急激な水切れなどの原因になるため避け、落葉樹などの影で育ててください。つまり、他の植物と同様、風通しの良い明るい半日陰で管理する育て方を実践するのがベストです。

春の開花中は雨に当たらない場所に置く

春のヒメリンゴの開花中は雨に当たらない場所に置く育て方を行います。この時期はある程度の直射日光に当てても大丈夫ですが、あくまで明るい半日陰で管理するようにしてください。ヒメリンゴは開花中から結実したばかりの時期にかけてとても乾燥しやすいため、雨などに当たって乾燥すると落果してしまう恐れがあるので注意が必要です。

冬は風や霜が当たらない場所で管理する

冬は直接風や霜が当たらない場所で管理する育て方が大切です。もしそのような場所が見当たらない場合は、ムロ・寒い半屋内などで屋外と同様の5℃以下の気温のところで管理することをおすすめします。ヒメリンゴは落葉樹なので、寒さを体験させる必要がありますし、寒さを体験することで紅葉しその後葉を落とします。また冬に落葉した後は日光に当てなくても特に問題はありません。

ヒメリンゴの育て方のポイント②水やり

次にヒメリンゴの「水やり」からみる育て方のポイントについて項目別にご紹介していきたいと思います。水やりのタイミングを間違うと、根腐れなどの原因にもなりかねないため、ヒメリンゴの特性を知っておくことは大変重要です。

ヒメリンゴは加湿を嫌う植物

ヒメリンゴは過湿を嫌う植物のため、乾燥気味に育てた方が順調に育つ上に甘い実をつけてくれます。ヒメリンゴがなぜ過湿を嫌うかというと、ヒメリンゴは病気に弱いため過湿により病気にかかりやすくなるためです。ですから、乾燥気味を重視した育て方をし、水切れにもならない程よい水やりが大切です。

地植えの場合:乾燥期以外は基本的に不要

ヒメリンゴを地植えしている倍は、乾燥期以外は基本的に水やりは不要です。雨が降らない日が続いたり、真夏の暑い日などは土が乾いていたらたっぷりの水を与えるようにしてください。地植えにしているからといって、これらの時期に放置してしまうことはヒメリンゴの生育にとってよくない育て方です。

鉢植えの場合:土が乾いたらたっぷりと

ヒメリンゴを鉢植えしている場合は、土が乾いたら底穴から水が出るくらいたっぷり与えるようにしてください。水やりの目安は、春秋は一日一回・夏は朝夕の一日二回・冬は2~3日に一回です。とはいえ、育て方の環境で土の乾き具体が変わるため、必ず育てているヒメリンゴの土をよく観察した上で水やりを行うかの判断をおこなっえください。

開花中は花に水がかからないよう注意する

ヒメリンゴの花が開花している時期は、花に水がかからないように注意した育て方をすることが大切です。もしヒメリンゴの花に水がかかってしまうと、花粉が流れて傷んでしまうため根元にそっと水やりを行うようにしてください。同様の理由から、開花中は雨に当たらない場所に置くように心がけることが大切です。

ヒメリンゴの育て方のポイント③土

では、ヒメリンゴの「」からみる育て方のポイントについてご紹介していきたいと思います。ヒメリンゴは一体どのような特徴の土を好むのでしょう。

水はけと水持ちのいい土を好む

ヒメリンゴが好む土は、水はけ・水持ち両方が叶う土です。また通気性の良い土も併せて好むため、土づくりには気を祓う必要があります。これらの特性を持っている土は、押さえたらつぶれてしまう土というよりは硬質の土で、しっかり押さえても潰れない強度を持った土です。このように硬い土を使わないと根が上手く伸びていかないですし、柔らかいと水はけの良い土とはいえません。

地植えの場合:土にたっぷりと腐葉土を混ぜ込む

ヒメリンゴを地植えする場合は、肥沃な土にするため植え穴を掘った土に、たっぷりの腐葉土を混ぜ込んで植えるようにしてください。また水はけが悪い場合は「パーライト」を併せて混ぜ込むことで程よい土が完成します。地植えで西日が当たる場所では乾燥を防ぐための「マルチング」(専用の黒いビニール)で覆うことで、ヒメリンゴに適した環境が作れます。

鉢植えの場合

ヒメリンゴを鉢植えしている場合は、自作の土を作る方法と市販の園芸用の土を利用する方法があります。いずれの場合も、ヒメリンゴが好む水はけ・水持ち・通気性の良い土を用意するようにしてください。それでは、それぞれの土を使うメリットについてみていきましょう。

赤玉土7:腐葉土3の配合土など

ヒメリンゴの鉢植えに使う土を自分で配合したい場合は、基本的には「赤玉土(小粒)7:腐葉土3」などを混合し、栄養がたっぷり含まれた配合土を使います。赤玉土は赤土を乾燥させてから振るいにかけたもので、保水性・排水性に優れた土です。これに栄養がたっぷり含まれた腐葉土を混ぜることで土全体に微生物が増え、植物の成長を助けるふかふかの土になります。

市販の果樹用培養土でも育てられる

ヒメリンゴを市販の果樹用培養土「石木花の土」などを利用して育てることも可能です。市販の土にはヒメリンゴが育つ上で大切な栄養分が既に含まれているため、購入後すぐに使っても問題ありません。また保水性・通気性・肥料持ちなどが良くなるように配合されているため、ヒメリンゴが好む土としても有効です。

ヒメリンゴの育て方のポイント④肥料

次にヒメリンゴの「肥料」からみる育て方のポイントについて項目別にみていきましょう。ヒメリンゴは肥料が足りないと病害虫の被害に遭いやすくなりますし、実をつける数も減っていきます。ヒメリンゴが育つうえで肥料を与える作業は欠かせません。

元肥:有機質の固形肥料を与える

ヒメリンゴに与える元肥として、有機質の固形肥料を与えてください。地植えの場合の元肥は、腐葉土・堆肥(緩効性肥料)を土に混ぜ込んで植え付けることをおすすめします。ヒメリンゴの肥料は、元肥を与えるだけでは不十分なため、折々の時期で追肥をこまめに行う必要があります。

追肥

ヒメリンゴに与える追肥は、一年を通して何度か行う必要があります。肥料が足りないと花を咲かせられないばかりか、病害虫の被害にも遭いやすくなり、下手をすると一気にヒメリンゴの樹木を弱らせてしまう恐れがあります。ですから、ヒメリンゴの追肥のタイミングを忘れることなく、定期的に追肥を行うことが大切です。

4月~5月頃、9月~10月頃

ヒメリンゴの追肥は基本的に「4月~5月頃」および「9月~10月頃」に一回ずつ有機肥料を施します。4月~5月に行う「春肥」は控えめに与えるようにし、新芽が伸びて花が咲き、結実して実がある程度大きくなる頃から肥料を与え始め、8月には一度肥料が切れている状態を作ります。その後、9月~10月の「秋肥」でしっかり有機肥料を施すことで、樹勢も維持され翌年も実をつけてくれます。

有機質肥料や緩効性化成肥料を与える

ヒメリンゴの追肥は、有機質肥料・緩効性化成肥料を与えるようにしてください。肥料の成分として、成長期は「窒素」を含んだ肥料が重要ですが、秋肥は「リン酸」が多めに含まれている肥料がおすすめです。リン酸が多めに含まれている肥料を与えることで、実の充実と冬越の力をヒメリンゴの樹木に持たせることができます。

1月頃に寒肥を与えてもよい

ヒメリンゴが実をつけ、落葉した1月頃に「お礼肥」としての「寒肥」を少量与えても良いです。この寒肥を与えることで、ヒメリンゴの樹木の体力の回復が見込めます。年内~遅くても年明け早々には実を取り除き、しっかりヒメリンゴの樹木を休ませてあげる期間を設けることで、翌年も奇麗な花を咲かせてくれます。

実の色づきをよくするため8月には肥料が切れている状態にする

上記でも少し触れましたが、ヒメリンゴの実の色づきを良くするため、8月には肥料が切れている状態にすることが大切です。この時期はヒメリンゴの花芽形成の時期なので、このタイミングで肥料を敢えて切らすことで実の色づきが良くなります。ヒメリンゴの花や実はとても鮮やかな色をしているため、写真に写してもとても映えます。是非屋内屋外に限らず、ヒメリンゴの成長過程を写真に残して行っても素敵ですよ。

ヒメリンゴの植え替え・植え付け

ここからはヒメリンゴの植え替え・植え付けについてご紹介していきたいと思います。ヒメリンゴの植え替え・植え付けは、タイミングを間違うと取り返しのつかないことになりかねないため注意が必要です。

植え付け・植え替えの適期:9月~11月、3月下旬~6月上旬

ヒメリンゴの植え付け・植え替えのベストな時期は「9月~11月」「3月下旬~6月上旬」です。厳しい寒さを抜け、新芽がほころぶ頃には既に新しい根も活発に活動しているため、それら成長期の活動が始まる直前に植え付け・植え替えを行うのが理想です。根詰まりを防いだり通気性をよくするためにも、植え付け・植え替えを敵期に行うように心がけてください。

植え付け

ヒメリンゴの植え付けは、厳しい寒さを除いた11月下旬~12月上旬の落葉期に行います。また2月~3月頃でも問題なく植え付けられます。葉が芽吹いた後に植え付けを行う場合は、根を崩さないように丁寧に植え付けるようにしてください。またヒメリンゴは本来寒さに強く、寒い場所を好む植物ですが、幼木のあいだは霜に弱いため植え付ける場所は霜が当たらない場所を選ぶようにしてください。

苗木の選び方

ヒメリンゴの苗木の選び方は、葉が奇麗でぐらつきのないしっかりした枝ぶりをしている苗木がベストです。ヒメリンゴの収穫を早く行いたい場合は、ある程度大きく育っている「鉢植え苗」を選ぶようにしてください。もちろん小さい「ポット苗」を購入しても良いですが、収穫までに時間がかかる以外にもそれなりに手をかけないと順調に育たないため、敢えてポット苗を購入するより鉢植え苗をおすすめします。

地植えの植え付けの手順

ヒメリンゴを地植えで植え付ける手順をわかりやすくご紹介していきましょう。地植えを行う場合、まず場所選びを慎重に行う必要があります。鉢植えでは季節・天候などに合わせて場所を移動させられますが、地植えの場合は年中通して同じ場所で育てることになるため、植える場所選びは慎重に行う必要があります。それでは地植えでの植え付けの手順についてみていきましょう。
  1. 風通し・水はけの良い場所を選ぶ
  2. 植え穴を掘った時にできた土にたっぷりと腐葉土を混ぜこみ、肥沃な土を作る
  3. 肥沃な土を半分植え穴に戻す
  4. ヒメリンゴの苗を置く
  5. 残りの半分の土をかぶせて植え付けたら、60㎝ほどの高さに切り戻し、支柱を立てて支える
  6. 水をたっぷり与えたら、ヒメリンゴの苗の地植えの完成

地植えの場合は植え付け後に支柱を立てるとよい

上記の手順でもご紹介したように、ヒメリンゴを地植えする場合は植え付け後に支柱を立てることで、ヒメリンゴの幼苗をしっかり支えられます。植え付け直後はヒメリンゴの苗がぐらつきやすいため、支柱を添えることでヒメリンゴの苗が倒れるのを防げます。また、ヒメリンゴの苗の植え付けは深く植えるのではなく、支柱がないと倒れてしまうくらい浅く植えるのがコツです。

鉢植えの植え付けの手順

次にヒメリンゴを鉢植えにする場合の植え付けの手順について、ステップごとに分かりやすくご紹介していきたいと思います。ヒメリンゴの鉢植えは、もし複数のヒメリンゴを植える場合、7号鉢に1株を目安に鉢の数を用意してください。土は市販の果樹用培養土など、水はけと水持ちのバランスが整っているものを準備することが大切です。
  1. まず新しい鉢の底穴に鉢底ネット・鉢底石を敷いたら、鉢の1/3程まで土を入れる
  2. 元の鉢からヒメリンゴを取り出し、根についた土を崩さないように注意しながら、鉢の中心に苗を置く
  3. 次にヒメリンゴの周りに土を隅々まで入れて、株を安定させる
  4. 水をたっぷり与え、鉢の縁から3㎝ほど下のところまで土で一杯になるように調節する

植え替え

ヒメリンゴの植え替えは、仕立て段階・目的によって時期が異なります。つまりヒメリンゴの植え替え時期は、「春先の植え替え」「秋の植え替え」と2パターンあります。それぞれの植え替え時期で目的の違いが明確にあるため、植え替え時期を間違わないためにもポイントをしっかり押さえておいてください。

鉢植えの植え替えのタイミング

それではヒメリンゴの春先の植え替えと秋の植え替えの違いについて、わかりやすく表にまとめてご紹介したいと思います。ヒメリンゴの各植え替え時期の目的を知ることで、自分の希望に沿った植え替えができますし、それによってヒメリンゴの調子を整えることも可能なので、是非把握しておいてくださいね。
時期 目的及び樹の種類
春先の植え替え 3月上旬~中旬頃 主に前年に実を鑑賞し、今年は休ませようとする樹。 仕立て段階の養成気。
秋の植え替え 9月下旬~10月一杯 来年花や実の鑑賞を行いたい樹。 今年休ませて来年の花芽をたくさんつけたい樹。

植え替えの手順

ヒメリンゴの植え替え時期やそれぞれの目的への理解が深まったところで、実際に植え替えを行う手順についてご紹介したいと思います。植え替えを行う際のポイントは、鉢から出した時に傷んでいる根を少し切りそろえ、植え替えに時間がかかりそうなときは、根が乾燥しないように霧吹きで水分を与えることです。
  1. まず、植え替えを行う新しい鉢の小さな鉢穴に針金を通し、その後鉢底ネット・鉢底石を敷き詰める
  2. その上に鉢の半分ほどまで土を入れたら、元の鉢からヒメリンゴを抜き、根が傷んでいたら少しだけ切る
  3. 新しい土の上に置き、位置が決まったら針金で縛る
  4. 針金で縛れたら、周りに土を入れていく
  5. 水をたっぷり与えたら完成
植え替え後10日間ほどは陽の当たらない、風通しが良く明るい場所で管理し、その後今まで育てていた場所に移します。実があまりにも多くできている場合は、間引きして残したい実にしっかり栄養分が届くようにすることも大切です。ヒメリンゴの一本の木に対する実は、少ない方がより大きな実になりやすいため、適宜調節することも重要なポイントです。

ヒメリンゴの増やし方

次に、ヒメリンゴの増やし方にはどのような方法があるのかを項目別にみていきたいと思います。それぞれの方法には注意すべきポイントがいくつかあるので、それらを踏まえたうえで是非挑戦してみてください。

挿し木

まず一つめの増やし方は「挿し木」です。挿し木を行う際の細い枝には発根剤は必要ありませんが、少し太めの挿し木を使う場合は、発根剤をつけることで根が出やすくなり成功率もアップします。また挿し木に使う用土は肥料が含まれていないものを使うようにしてください。

挿し木のしかた

ヒメリンゴの挿し木の仕方は、まず切り口が奇麗になるように枝を切り、発根促進剤を入れた水にしばらく浸しておきます。その後、あらかじめ割りばしなどで土に穴を開けておいたところにヒメリンゴの挿し木を挿して行きます。挿し木のポイントとしては、枝を切る時に通常のハサミを使うと枝がつぶれたようになってしまうため、必ず切れ味の良い剪定バサミもしくはカッターナイフを使うようにしてください。

花芽は取り除いておく

ヒメリンゴの挿し木を行う際、花芽があると栄養分が花芽に取られてしまうため、必ず花芽は取り除くことが大切です。もし花芽がついているまま挿し木を行えば、発根の時に使うはずの栄養が全くない状態になり、発根できずに失敗に終わるなんていうことにもなりかねません。そのため必ず花芽は取り除くように心がけてください。

接ぎ木

ヒメリンゴを増やす方法の2つめは「接ぎ木です。接ぎ木とは、2種類以上の植物を接着させ、新たな個体を生み出す技術です。具体的には、植物の枝・芽などの一部を切り取り、他の植物の枝・幹に切断面を作って接着させます。なぜこのように接ぎ木が上手くいくかといえば、植物の持つ融合能力を存分に利用した方法だからです。

接ぎ木の時期:3月中旬~4月頃

ヒメリンゴの接ぎ木を行う時期は、3月中旬~4月頃がベストです。ヒメリンゴは活着が良い植物のため、太めの台木と挿し穂があれば簡単に増やせられます。様々な種類のヒメリンゴを育てている場合は、接ぎ木を行って一風違ったヒメリンゴをオリジナルで作り上げてみるのも楽しいかもしれませんね。

接ぎ木のしかた

ヒメリンゴの接ぎ木のしかたは、まず「接ぎ穂」をもとの枝から切り取ります。その後挿し穂は葉ごと「接ぎ木テープ」で枝全体をグルグル巻きにします。次に清潔なカッターナイフで枝の根元をカットして形成層をむき出しにします。ここまで出来たら、親木のできるだけ根元に近い部分にカッターナイフで切り込みを入れます。切れ込みが入れられた部分に先ほどの挿し穂を挿し、接ぎ木テープで親木と挿し穂を一緒にグルグル巻きにします。これで一本目の挿し穂は完成です。何本も挿す場合は、同じ要領で繰り返して行ってください。

ヒメリンゴのお手入れ

順調に育っているヒメリンゴも、お手入れをしないと花も実もつけてくれません。そんなヒメリンゴのお手入れ方法にはどのようなものがあるのでしょう。

剪定

ヒメリンゴのお手入れ方法としてまず挙げられるのが「剪定」です。ヒメリンゴの花芽は短く充実した枝につくため、短い枝や下枝はそのままにし、勢いが良い上部の枝を短めに切る方法で行います。また不要な枯れ枝などの取り除くためにも剪定は欠かさず行うことが大切です。

ヒメリンゴは短い枝に実をつける性質がある

ヒメリンゴの剪定は、植え替えの時期と同じタイミングで行うのがベストです。ヒメリンゴは短い枝に実をつける性質があるため短い枝はそのまま残し、太枝の剪定を行うようにしてください。また低い位置に芽があるタイミングで剪定を行うことで、ヒメリンゴを小さくまとまらせて形作るチャンスのため、この場合は芽当たりの位置まで切り戻し剪定を行うことをおすすめします。

剪定の時期:2月~3月頃、5月~6月頃

ヒメリンゴの剪定時期は、2月~3月頃、5月~6月頃がベストです。2月~3月頃の剪定を「冬剪定」、5月~6月頃の剪定を「夏剪定」と呼びます。ヒメリンゴの夏剪定は、4月頃に花が咲きその後実がつきだす頃に行います。これは成長することで枝が込み合い、日当たりが悪くならないようにするためです。もし夏剪定を行わないと、カビが生えたり葉が枯れたりなどのトラブルに遭遇しやすくなります。

剪定で切る枝の種類

剪定を行う際に切る枝の種類は、2月~3月頃の冬剪定の場合、短い枝・下枝はそのまま触らず、上部の勢いが良い枝を短めに切り詰めてください。また5月~6月頃に行う夏剪定の場合は、徒長枝だけを切るもしくは枝全体を見栄えの良い長さまで揃えるという剪定方法を行うことが大切です。いずれの場合も、風通しを良くすることが目的のため、これらのポイントを踏まえつつ、余分な枝は取り除くように心がけてください。

針金かけ

ヒメリンゴの「針金かけ」は別名「芽おさえ」といい、樹形作りを目的とした矯正・枝の力を押さえて花芽をつけさせる目的で枝を下垂させます。通常ヒメリンゴの枝は水分が多いため曲げると折れやすいですが、針金かけを行う頃の枝は曲げやすく折れにくいという特徴を持っているため、この時期に行うことで失敗の率を減らせます。

5月中旬~6月に行う

ヒメリンゴの針金かけは5月中旬~6月に行うのがベストです。数本伸びる強い徒長枝を針金で伏せるように曲げます。針金かけは主に花芽の形成を促進させるために行いますが、養成木でも芽摘みと合わせ補助的に行うこともあります。またこの時期は枝が太りやすいため、6月頃にかけた針金は8月には枝に食い込んでくるため、傷がつかないうちに忘れず外すようにしてください。

針金かけのしかた

ヒメリンゴに針金をかける方法は、基本的に近い場所に存在する同じ位の太さの枝を二本選び、その二本の根元に針金をかけ、目指す樹形を想像しながら枝を曲げつつ針金で固定していきます。針金の太さは、かけようとしている枝の太さの1/3程度の太さの針金がベストです。それでは、針金かけのしかたを順にみていきましょう。
  1. 針金をかけようと思う枝を決める
  2. 慎重に枝の太さを考慮しながら針金の太さを選ぶ
  3. 針金切りで針金を切る
  4. 枝にクルクル針金を巻きながら、枝の根元から枝先に向かって針金を順に巻き上げていく
  5. 針金を巻くときに併せて整枝を行いながら進める
  6. 枝の向きは下を向かせるようにしておくと、枝の付け根から短枝が出やすくなる

受粉

ヒメリンゴの「受粉」も大切な作業の一つです。ヒメリンゴは実つきの良い植物のため、受粉させれば花の数だけ鈴なりに結実します。とはいえ多くの実をそのまま維持すると、ヒメリンゴの体力が消耗してしまうため、育てる実の実数を調整する必要があります。

交配にはカイドウの花粉が必要な品種がある

ヒメリンゴの交配を行う際、カイドウの花粉が必要になる種類も存在します。ヒメリンゴは自家不和合性という特性を持っているため、交配には近縁種のカイドウの花粉が必要です。カイドウを近くに置いておくだけで風媒花・虫媒花のため受粉しますが、刷毛などで取った花粉を雌しべに人工的につける人工授粉もより結実させるには確実な方法です。

受粉は4月頃に行う

ヒメリンゴの開花時期は4月頃のため、受粉は同じ4月頃に行います。花同士を軽くこすり合わせたり、綿棒などで取った花粉を雌しべに付けるなどの方法で行うと高確率で受粉します。あまりにも多くの花を受粉させてしまうと、全てが実になってしまうため、ある程度の間隔を開けたり実をつけたい部分だけ受粉させるなどの選別が重要です。

開花調整のために蕾に霧吹きをかけたりするとよい

ヒメリンゴの開花はカイドウより少し遅くなる傾向があるため、ヒメリンゴの開花が遅れそうな場合は、蕾に霧吹きをかけたり日当たりの良い場所に置くなどの工夫をすると、開花時期を早められます。これらの一連の作業を「開花調整」と呼びます。

収穫

次はヒメリンゴの「収穫」の作業です。ヒメリンゴの実は、赤・黄色など品種によって色が違うため、様々な種類のヒメリンゴの木を育てて実を収穫しても大変楽しいです。またヒメリンゴは完熟する前に収獲してしまうと酸っぱさが残っていますが、完熟してしまうと酸っぱくないため実を触って枝からポロッと採れるまで待っていてくださいね。

実は9月~11月にピンポン玉サイズになったら収穫する

ヒメリンゴの実は9月~11月、ピンポン玉サイズもしくはサクランボの大サイズ程になったら収穫を行います。日本では北海道から北陸にかけての涼しい地域に自生しており、「小玉リンゴ」「クラブアップル」とも呼ばれます。完熟していても通常のリンゴよりは甘みが少ないため、生で食べるよりは加工して食べることをおすすめします。

果実酒やジャムなどにするのがおすすめ

ヒメリンゴを食べる時、果実酒・ジャムなどにして食べるのがおすすめです。ヒメリンゴの渋みは皮から、そして実は一般的なリンゴよい少し固めです。そのため、ヒメリンゴの小ぶりなサイズを活かして、まるごとお菓子に使ったりすることもできます。

病害虫

それではヒメリンゴに発生しやすい「病害虫についてご紹介していきましょう。ヒメリンゴは湿気が苦手なため、湿っている状態を続けていると病害中が寄り付きやすくなります。ヒメリンゴの春に伸びた新芽には「アブラムシ」「ハダニ」がつきやすく、夏ごろからは「ハマキムシ」が発生しやすいため、よく観察して早めの対処を心掛けてください。

うどんこ病

ヒメリンゴがうどんこ病」にかかると、葉・茎の表面にうどん粉をまぶしたような症状が現れます。これは粉ではなく実は白いカビの一種で、この症状が現れると葉から光合成が行えなくなったり、葉からの栄養をカビに吸収されるため、生育不良・花が咲かない・実が肥大しないなどの被害が起こります。発生初期なら「STサプロール乳剤」「カルグリーン」などの散布が有効です。

褐斑病

ヒメリンゴが褐斑病」にかかると、糸状菌(カビ)により葉に病斑が現れ伝染します。はじめは淡い褐色の円形の小さな斑点ですが、それが徐々に大きくなり中央が灰褐色・周囲が黄褐色の円形もしくは不整系の病斑になります。また葉が常に湿気を帯びていると発生しやすく、雨が降ると他の葉に伝染するため厄介です。事前の予防として薬剤処理を行っておくことをおすすめします。

黒星病

ヒメリンゴが黒星病」にかかると、葉に黒いシミのような斑点ができ、やがて落葉し株の勢いが衰えます。この黒星病は、梅雨時期の過湿により多発する病気で、病気に感染した部位を見つけたら即取り除き、園芸用の殺菌剤を噴霧して対処するようにしてください。

アブラムシ

ヒメリンゴの葉に「アブラムシ」がつくと、ヒメリンゴの樹から樹液を吸い葉が丸まってしまいます。アブラムシは繁殖力が大変強く、群れで寄生するためあっという間に被害が拡大してしまいます。またウィルス病を媒介する間接被害にも十分注意する必要があります。対処法としては見つけ次第薬剤をまいて駆除するようにしてください。

シンクイムシ

ヒメリンゴにシンクイムシ」がつくと、ヒメリンゴの実の中にシンクイムシが入り込み、実を食べてしまいます。シンクイムシの対策には、無農薬の方法から薬剤に頼る方法まで様々ありますが、幼虫が一度ヒメリンゴの実の内部に入り込んでしまうと駆除が難しくなります。

キンモンホソガ

ヒメリンゴについた「キンモンホソガ」の幼虫は、葉に侵入し葉肉を食べてしまいます。そしてヒメリンゴの葉が育たなくなり、徐々にヒメリンゴの樹そのものが弱っていってしまいます。対処法としては、キンモンホソガを見つけたら即薬剤を使って駆除することが大切です。

カイガラムシ

ヒメリンゴの枝に「カイガラムシ」がよくつきますが、カイガラムシの幼虫は春から秋にかけて土の中からどんどん孵化し、木を登りやがて成虫になります。幼虫は硬い殻に覆われいないため薬剤散布で効果がありますが、成虫になると足が無くなり硬い殻で覆われているため、薬剤散布では対処できなくなります。成虫になったカイガラムシの対処方法は、とにかくゴシゴシこそぎ落すしかありません。そのため、幼虫を見つけたら予防の意味も兼ねて薬剤を散布することが大切です。

ヒメリンゴの人気の品種を紹介

最後にヒメリンゴの人気の品種をご紹介していきたいと思います。ヒメリンゴには様々な種類があり、実の色もいろいろあるため、是非お気に入りの品種をみつけてみてくださいね。

アブチロン

アブチロン」は、下垂気味に咲く花がとても人気の高い亜熱帯性の常緑低木です。アブチロンは生育がとても旺盛で、まるで熱帯魚のようなカラフルで愛らしい花がとても魅力的な植物です。春から秋まで途切れることなく可愛らしい花を咲かせ、夏の暑さにもひるまず花を咲かせます。また冬の寒い時期も明るい室内で育てると年中開花します。

アルプス乙女

アルプス乙女」は直径約5㎝ほどのミニりんごで、果皮は真っ赤で軸がやや長く、とても可愛らしい姿をしています。収穫時期は10月中旬頃から下旬頃で、その時期になるとタイミングが良ければ店頭でも見かけますし、小さくて食べやすいことからリンゴ飴としても利用されています。アルプス乙女は甘味の中に程よい酸味があり、果汁も多めの食べやすいヒメリンゴです。

長寿紅

長寿紅」の特徴は、4月~5月頃に枝一杯に白色の花が咲き、秋から冬にかけて真っ赤な実が鈴なりにたくさんできるところが挙げられます。長寿紅は庭植え・鉢植えどちらでも育てられ、観賞用・収獲用としてももちろん育てられます。また別名を「執念のリンゴ」とも呼ばれているそうですよ。

【まとめ】ヒメリンゴの育て方を紹介!苗木の選び方から鉢植えでの栽培方法まで

この記事では、ヒメリンゴの育て方のポイント・様々な病害虫などについて主に解説してきましたがいかがでしたか?
  • ヒメリンゴは中国が原産のバラ科リンゴ属の落葉樹である
  • ヒメリンゴは普通のリンゴより小さい実をつける
  • ヒメリンゴは薄ピンクの花を咲かせ、盆栽など観賞用の樹木としても人気が高い
  • ヒメリンゴの育て方のポイントは「置き場所」「水やり」「土」「肥料」である
  • ヒメリンゴの植え付け・植え替えの敵期は同じである
  • ヒメリンゴの増やし方には「挿し木」「接ぎ木」という方法がある
  • ヒメリンゴのお手入れには「剪定」「針金かけ」「受粉」「収穫」「病害虫」が挙げられる
ということが、この記事を読んで理解いただけたと思います。これらのポイントを押さえヒメリンゴを育てることで、病害虫にも負けない立派で元気なヒメリンゴを育て上げられることでしょう。是非、様々な色の実をつけるヒメリンゴを育ててみてくださいね。 最後まで読んでいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENでは、他にもたくさんの記事をご用意しておりますので併せてご覧ください。